和郷園の冷凍野菜工場が稼働して今年で10年。その間幾多の設備投資を行ない、生産量を伸ばしてきた。2011年からは敷地内にドライセンターを整備し、乾燥野菜の製造も始めた。
佐藤工場長
IQFフリーザーを導入し、ほうれん草、小松菜、やまといも、ごぼう、いんげん、枝豆などのバラ凍結品を生産している。
年間生産量は1400t。メインのほうれん草が半分以上を占める。IQFフリーザーは時間当たり500tの能力。このほかにBQFフリーザー(時間当たり200t)もあり、日勤と夜勤の2交代制で生産する。一時期は朝の5時まで操業していた。「さすがに3交代制はきつかった。ラインを増設して2交代制に抑えられるようになった。需要増にも応じられるようになった」と佐藤健工場長は語る。
「立ち上げから3年間は苦労した」と振り返る。実は佐藤工場長は食品資材メーカーの元営業マン。担当者として和郷園に出入りしていたところ、木内代表理事に“スカウト”された。「明日から君が工場長」。佐藤工場長は当時を振り返り、苦笑する。
佐藤工場長に限らず、異業種から和郷園の門をたたく人は少なくない。信金マン、商社マン、それに新聞記者だった人もいる。「農業に魅せられた、人を惹きつける力を持っている。それが和郷園。おもしろいところですよ」と、ある社員は笑ってみせる。
工場を増設し、需要増に対応した
冷凍野菜工場も生産量が年々増大
乾燥機を新たに導入、切り干し大根などを生産する
佐藤工場長が中心となっていま進めているのが乾燥野菜。2011年、敷地内にドライセンターを整備し、切り干し大根や千切りごぼうを製造している。
また12年末からは、ごぼうの皮を有効活用するため、粉末にして“茶”の原料にする開発を進めている。今まで端材は自社内のリサイクルセンターで堆肥や液体肥料にしていたが、「栄養素が一番多く含まれているのが野菜の皮。これを商品にできないかと検討していた」と語る。また、「ごぼうの連作は難しい。一度作ったら5年は期間を空けなければならない。それでは会員農家はごぼう作りを敬遠するだろう。ごぼうを余すところなく利用すれば、生産者もごぼう作りに魅力を感じるはず」と説明する。
佐藤工場長は自ら営業に出かける。月に半分は外に出ているという。それも工場を任せられる人材が育っているから為せること。「ウチは生産、加工、販売を自分たちの手でやっているから」と笑みを浮かべた。