ベンチャー企業と連携し、酒造りに参画

 高島屋日本酒応援団と「手造り少量生産」で「県産」にこだわった希少性の高い日本酒の商品開発に焦点をあて、地方の家族経営の酒蔵と地域の活性化に共同で取り組む。数年をかけて全国展開し、日本酒市場の拡大をめざす。
 商品開発のコンセプトは、すべて県産の酒米のみを使用した純米大吟醸の無ろ過生原酒。また高島屋限定の商品として1タンクから限られた本数しか取れない「しずく斗瓶取り」で製造した日本酒を限定販売する。
 無ろ過生原酒は多くの日本酒の製造工程で行われる「炭素ろ過」、「火入れ殺菌」、「加水調整」を行わない酒。加工しない分、フレッシュな生の味わいとシンプルな原材料本来のうまみが味わえる。
 しずく斗瓶取りとは酒を搾るときに「酒袋」という大きな布袋にもろみをいれ、それを吊るすことで、外圧ではなくもろみの重みで自然に滴り落ちる「しずく」だけを「斗瓶」に集める方法。通常のしぼり手法に比べ、1つのタンクから取れる日本酒の量は約1/4と極めて少量。酒の一番おいしいところだけを詰めるので希少性が高い。一般的なしぼりに比べると手間も時間もかかるが、雑味が少なく華やかな吟醸香を最大限に楽しめる。

 高島屋のバイヤーは「しずく斗瓶取り」の日本酒造りに今年2〜3月実際に参画した。5月には来期の酒米の田植えから稲刈りまで参画し、日本酒造りへの関与を一層深め、地元地域と一体となって取り組む。今後は日本酒応援団とともに継続的に商品開発と販売を行い、酒蔵のある地域の名前をそのまま銘柄名に活用して、日本各地の米のうま味を最大限に楽しめる日本酒を製造工程から後押する。


 第1弾として、3月29日から始まったイベント「NIPPON ものがたり」で、島根県掛合町の竹下本店が醸造した「<KAKEYA>純米大吟醸 しずく斗瓶取り 2017」を販売開始した。
 5月以降は埼玉県上尾市の文楽で醸造した「<AGEO>純米大吟醸 しずく斗瓶取り 2017」と石川県能登町の数馬酒造の「<NOTO>純米大吟醸 しずく斗瓶取り 2017」を順次販売する。

 日本酒応援団は 2015年に設立された「田植えから世界販売まで」を行う日本酒に特化したベンチャー企業。全国の酒蔵と組み、社員全員が田植えから酒造りまでの醸造サポートを現場で行いながら、オリジナルブランドの日本酒を企画・販売している。