阿部万寿雄の「食の安全」と「ものつくり」 −11−
「5Sに始まりHACCP認定まで」
S社の5S活動6年間を省みて(4)

(2)災い転じて福とする
 大事件として主力商品にゴキブリ丸ごと混入のクレーム発生、大手得意先から取引中止、最悪の事態となる。
 全社を挙げて対応し、徹底的な駆除対策に取り組んだ。品質保証部の若い女性スタッフの活躍で、老朽化した建物・施設の害虫駆除にも外部業者に加え、独自の対策改善が進み、予防駆除の成果がでてきた。

カニ爪のクリーミーフライの金属検出器ライン

(3)第2弾としてB工場をHACCP認定工場にする挑戦
 HACCP対策としてカニの主力商品「カニ爪フライ」は旧加工場を改装して生産ラインを設置する。
 従来の水産加工場から、より付加価値のある冷凍食品を導入し、品質管理レベルの向上と工場運営の安定化を図る。

 S社の食の安全確保と工場運営の安定と向上により、5S活動を通して2工場のHACCP認定工場まで到達、6年にわたる社長・工場幹部・現場従業員の日々の努力の積み重ねの結果であり、今後の会社発展の基盤を確立した。

生産ラインの入り口も整理が欠かせない

 5S活動は難しい理論を振りかざすものでなく、実践的な活動である。結果の出るのは早いが、忘れ去られるのも早い。まさに活動の継続こそが「力」となる。単なる現場の改善活動から業績改善に進み、さらに経営革新にまで展開される奥の深い活動である。
 そのためには継続を推進する確立した組織の維持が必要となる、エンドレスの活動である。
 消費者の要求はこれからも益々厳しさが増している。その要求に応え、消費者に喜ばれる「安全でおいしい食品」を継続して提供できる食品メーカーS社の益々のご発展を期待している。