マルハニチロ(東京都江東区、池見賢社長)と小野薬品工業(大阪市中央区、相良暁社長)は、健康食品分野における機能性表示食品の商品開発で協業することをこのほど発表した。マルハニチロが水産由来の原料を提供し、小野薬品が製品化して販売する。
小野薬品の辻中聡浩(つじなか・としひろ)専務は「協業のキーワードは体に良い油(魚油)。マルハニチロが供給する魚油の付加価値を高める」と語った。
これまで生理活性脂質のプロスタグランジンなど、様々な医薬品を創製してきた小野薬品は、水産物由来の機能性素材を研究・開発してきたマルハニチロと機能性脂質製品の商品開発に共同で取り組んできた。
小野薬品は2019年、マルハニチロから提供された水産物由来の機能性素材を使用した機能性脂質製品の開発に成功。2つの臨床試験で機能性脂質製品の有用性が証明されたことで「サプリメント事業発足に向けて動き出す」(辻中専務)とした。特にイクラに豊富に含まれるリン脂質に着目しており、マルハニチロはイクラオイルから高濃度のDHA・EPA、リン脂質の抽出に成功している。
マルハニチロの昌子有(しょうじ・たもつ)常務は「イクラオイルの共同研究を進める中で健康食品事業に対する方向性が一致した。
信頼できるパートナーとして互いの知見や事業ノウハウを有効活用し、食品と医薬品の間に位置する予防・未病の分野を開拓していく」と今後の取り組みに意欲を示した。
小野薬品は特定領域における革新的な医薬品の創製に取り組む研究開発型の製薬企業。特に医療ニーズの高いがんや免疫疾患、中枢神経疾患などを重点研究領域としている。
マルハニチロの昌子常務(左)と小野薬品工業の辻中専務(東京・日本橋
の小野薬品工業で)