日本最大規模の冷蔵倉庫が誕生
東京団地冷蔵
冷蔵倉庫の外観
首都圏4000万人の食料供給を担う低温物流の大型拠点、東京団地冷蔵（東京・平和島、織茂裕社長）が３年余に及ぶ工事期間を経て、現有地での一括建て替えを完了。１日稼働した。
13の冷蔵倉庫運営会社が１カ所に集まったユニークな団地式冷蔵倉庫。これまで９棟あった冷蔵倉庫を２棟（北棟、南棟）に集約した。保管能力は約18万ｔで貨物の大半は畜肉系。北棟（約13万ｔ）は日本最大規模の冷蔵倉庫となる。
東京団地冷蔵は、冷蔵倉庫業者を中心とした共同出資会社で、冷蔵倉庫の管理運営やテナント（株主）への賃貸を行っているが、新倉庫は効率的な荷物の取り回りや、集中運営方式による様々な効率化が期待できる。
東京港のコンテナふ頭の中核を担う大井ふ頭に至近な上、横浜港を含めた国際コンテナ戦略港湾や羽田空港にも近く、首都圏環状線を含めた高速道路へのアクセスも良い。東京モノレールの流通センター駅に隣接していることから来客や従業員の通勤にも便利。
敷地面積４万7351�屐�建築面積２万7671�屐�延床面積13万5619�屐Ｃ肋紕騎�建て（法定６階）。
建物構造はＲＣＳＳ構造（プレキャスト鉄筋コンクリート柱、鉄骨はり構造）。柱を圧縮に強い鉄筋コンクリート造りにし、梁を曲げに強い鉄骨造りとする「ハイブリット構法」を採用。これにより柱間隔を広げ、パレット収納を増やせる。
大量の入庫トラックや入庫コンテナの効率的な運用を目的とした物流効率化システム（入庫コンテナシステム）を導入する。留め置きコンテナ、空コンテナをよりスムーズに移動させ、トラック待機時間の短縮や、ＣＯ２削減を図り、総合的な物流の効率化を図る。
出庫にあたり複数棟に立ち寄るトラックの台数を削減、同トラックの構内総走行距離を90％削減し、省力化することで、ＣＯ２排出量を90％削減することを目標としている。
コンピュータによる温度管理の徹底や定期的な保守点検を実施。全ての冷凍機の制御は中央管理室で集中管理している。
広々とした荷捌き室
一方、業界の関心が高い「省エネ型自然冷媒」の導入に関しては、脱フロン化を実現し、省エネ型自然冷媒（アンモニア・ＣＯ２）使用の省エネ型冷却設備を導入した。旧施設原単位の80％を当面の目標とし、最終的に75％を目指すとしている。
セキュリティシステムでは「カードキー」「顔認証システム」「録画機能付き監視カメラ」を採用しており、入退室を徹底管理している。防災センターは365日24時間の警備体制を敷く。
地震に対する安全対策としては、免震設備（ハイブリッド免震システム）の導入が挙げられる。災害から人命、建物、貨物を守るために、液状化対策、免震対策を確実にし、安全を確保する。万一に備えて事務所の基本機能を停電時に３日間維持するための保安用発電機も設置している。
そのほか、大型コンテナが容易に入退場できる転回場と多くの待機場を確保。留置コンテナの盗難防止用赤外線センサーも設置している。
新倉庫は、従来の貨物用エレベーターをなくし、「垂直搬送機」を導入している。搬送作業の大幅な改善につながり、荷役作業効率の大幅アップが見込まれる。待機場には留置コンテナ用の給電設備を用意している。
＜テナント会社＞ニチレイ・ロジスティクス関東、山手冷蔵、東京豊海冷蔵、東京定温冷蔵、協冷、アルフア冷蔵、五十嵐冷蔵、日水物流、ベニレイ・ロジスティクス、東洋水産、松岡冷蔵、兼松新東亜食品、マルハニチロ物流 ※順不同