2012年後半の準備期間を経て、2013年千葉工場のプロジェクトを本格化させる。
しかし、設備は整備していたが、千葉工場へのチルド商品移管は簡単ではなかった。超えるべきいくつかの壁があった。
まず、同じ商品を2工場で作って、同じ取引先に収めるということ。他の多くのベンダー会社が既に手がけているが、同社にとっては初めてのことだった。
もう一つは、慣れている工場と慣れていない工場を、同じスペックにしなければならないこと。前者の「同じ基準のものを取引先に収める」ためには、作り手が同じレベルでなければならないのは当然。同社はこの対策に全力を注ぐ。
社員の異動はもちろん、2工場間のパートスタッフを入れ替えて研修にも行った。人材交流が活発な1年だったと振り返る。千葉から戸田へは“看板商品”の作り方を習いに、戸田から千葉へは教えに――。1日に、2工場間をバスで送迎するため、時間的な制約があり、パートスタッフも真剣そのもの。こうした交流の積み重ねはノウハウ以上の何かを得ることにつながった。
同左
戸田工場から千葉工場に異動し、商品移管に
尽力したメンバー
適切な設備、研修、人材交流――。こうした活動が実り、千葉工場でも生春巻きやトルティーヤ、ゼラチンスープなどの生産が“ひとり立ち”した。今まで増産要請を受けても断らざるを得なかった戸田工場のぶんを千葉工場で引き受けることができた。収益面でも13年後半から改善効果が見えはじめ、11月からは大幅に改善できた。
商品開発にも自信がみなぎっている。今冬は春菊を使ったゼラチンスープに挑戦。寒い時期にぴったりの鍋物をイメージした商品に仕上げた。あらかじめ熱を加えた春菊をスープに入れるのではなく、生の原料を使う。このため、レンジアップしてもベチャベチャになりすぎることはない。「春菊もパクチーと同様に扱いは難しいのですが、微酸性電解水を活かして完成することができました。洗浄しても機能水独特のにおいはしません。生のまま使えるのがポイントです」(若林生産本部長)と説明する。
「13年中に千葉工場の改善が間に合いました。14年は今まで以上に既存のお客様が満足できるよう、2工場で安定稼働に努めます。引き続き“デリシャス・クック”ならではの商品を開発し、より磨きをかけていきたいですね」と語る。
ゼラチンスープの製造ライン(千葉工場)