検査を簡単に

 食品業界では品質管理、危機管理の予防対策の要求が高まっており、HACCPの義務化が検討されている。
 これまで細菌検査は培地法が主であったが、色々な簡易迅速キットが開発され、省人化、検査費用の低減、時間の短縮などをはかっている。
 東京ビッグサイトで開催されたDrink JAPANに出展した簡易検査法を紹介する。

生菌、死菌を5分でカウント

 トッパンTDKレーベルのブースでNPCは測定開始から約5分で一般生菌と死菌の数を確認できる「バクテスター」を出展した。
 蛍光試薬を加えた希釈試料液をフィルタ−でろ過し、専用のスライドグラスにのせてセットすると、USB接続したパソコン画面に生菌数、死菌数、総菌数をカウント画像と表示し、約5分でカウントが終了する。生菌と死菌を区別して蛍光染色し、CMOSイメージセンサーでとらえた光を画像処理することで生菌数と死菌数を短時間で測定できる。
 基本的に細菌であればどんな菌でも染色されるため測定でき、芽胞を持っている菌も染色時間を長くすれば測定できる。
 微生物のモニタリングは培養法が一般的だが、検査結果が出るまでに時間がかかり、培地作成や資料の希釈など、工程が複雑で熟練を要する。この機器は検体をセットしたあとの操作はすべて接続したパソコン側で行うので、検査担当者の技術的な経験は必要ない。 
 本体の重さは約8.5kgと持ち運びできるサイズなので、微生物検査室を設けずに省スペースで検査したい場所で、検査したいときに、誰にでも検査できる。
 生菌数、死菌数、総菌数を測定するもので、菌の同定はできない。また測定結果は公定法に代わるものではなく、自主検査となる。

飲料水中の大腸菌・大腸菌群を自動計測

 メイワフォーシスは特許取得した「ポリマー・パーティション」技術を採用した、新しい水中の生菌検査技術「TECTA B-16 自動生菌計測システム」を出展した。
 大腸菌が持つ酵素で分解する基質を使用して測定する。酵素が基質を分解すると蛍光マーカーが発生。蛍光性マーカーは「ポリマー・パーティション」部分に結合するように設計されており、結合した蛍光性マーカーをUVライトで検出する。 サンプル溶液ではなく、「ポリマー・パーティション」部分を検出するので、サンプルの濁りや色に影響されない。
 1〜10の6乗CFU/mLと、ダイナミックな測定レンジをもつので、サンプルを希釈することなく1回の測定で濃度を定量化でき、10の6乗CFU / 100mLで2〜4時間、1CFU / 100mLの極低濃度サンプルも最大18時間で検査を完了する。
 操作は専用の容器(TECTAlert)に100mLのサンプルを注いで装置にセットするだけ。装置以外に専用の実験室や培養器等の装置は必要ない。
 米国環境保護庁(EPA)が承認済み。Association of Official Analytical Chemists (AOAC)、韓国国立環境科学院(NIER)の認証も取得している。

遺伝子で検出と同定を同時に

 日本ポールは微生物を迅速、簡単、高感度、正確に検出同定できるリアルタイムPCR装置「ジーンシスク・サイクラー」を出展した。
 特許を取得した独自デザインのプレートにより、1種類のDNA抽出液から同時に複数の微生物を検出できる。
 操作が簡単で、専門的な分析経験がなくても、正確で再現性の高い結果と、特異的な微生物の有無の自動診断ができる。
 一般的に微生物の培養法は検出用の培地と同定用の培地が異なるので、検査に時間とても時間がかかった。この方法は遺伝子を検査するので、TAB、酵母、ビール変敗菌など、重要危害菌の検出と菌種同定を同時にできるので、意思決定をより早く行うことができる。