防虫エンジニアリング、食品工場へ提案加速

 竹中工務店は建物の防虫性能を高める技術「防虫エンジニアリング」を食品・医薬製造施設向けに積極展開している。2010年に開発した吸引式の捕虫機が、薬剤を使用しない防虫対策として採用が進み、累計で200台を突破。これまでに飛来虫・歩行虫の侵入を防ぐ防虫対策設備も開発し、食品工場の新築工事で初めて適用された。今後も独自のエンジニアリング技術を適切に組み合わせ、食品・医薬製造施設などの安心・安全強化につながる解決策を提案していく。

バグキーパー、誘虫用蛍光灯から照射する
紫外線で集めた虫をファンの力で吸い捕る。
主に飛来虫に有効

 同社は01年に防虫研究のための専用施設を技術研究所(千葉県印西市)に設置し、建設会社として最も早くから施設の防虫対策に取り組んでいる。
 「社内に虫の専門家がいるのも強み」(同社)と自信を示すように、専用施設だけでなく、昆虫行動学の研究者が所属。駆除とは異なる予防的(建築的)な防虫に立脚した情報の蓄積と、環境に配慮した防虫技術・対策についての開発を推進している。虫の専門家を配している建設会社は珍しい。
 10年には薬剤を使用しない吸引捕虫機「バグキーパー」、14年に持ち運びにも便利な省スペース型の「バグキーパーmini」を発売。バグキーパーの開発から約5年を目前に、2製品合わせて採用件数が計200台を突破した。食品工場を中心に、精密機器工場などで採用が伸びているという。年内には壁掛けタイプの「バグキーパーmicro」を商品化する。
 また、クリーンエアシステムの専門メーカーの日本エアーテックと共同で開発した防虫対策設備「バグシールド」は、竹中工務店が設計・施工を手掛けたロッテ浦和第6工場(さいたま市南区、15年4月竣工)の新築工事で2台、初適用された。シートシャッターに防虫機能を付加し左右の開口部にバグキーパーを内蔵した防虫対策の設備。一般的な粘着テープ式の捕虫機と比べて約10倍の捕虫効果を実現するという。
 このほか防虫技術として、シャッターの開口部の前に停滞する虫を吹き飛ばす「エアフラッシャー」、建物開口部に設置して歩行虫の侵入を阻止する昆虫忌避材「バグバンパー」などをラインアップしている。

技術研究所に設置した防虫研究専用施設
説明しているのは“虫の専門家”、エコエンジニアリング部の宮田弘樹緑化生態環境グループ長