中国合弁工場の機械化は「ほぼ一段落」
ノースイ

 ノースイの中国合弁会社、山東龍大冷凍食品(山東省莱陽市)は「冷凍たこ焼が順調に生産数量を伸ばしており、2014年は3000tプラスαの生産をめざしている」(ノースイ)という。たこ焼の生産はもともと人海戦術による“手焼き”だったが、人件費や原材料費の高騰による価格上昇を最小限に抑えるため、12年5月に自動焼成ラインを日本から導入した。改善改良を加えながら、品質を落とさず機械生産化に成功した。年内にも、たこ焼の自動焼成ラインをもう1台追加導入する予定だが、「顧客サイドの根強い要望もあって“手焼き”ラインも残している」(同)。

洗髪ルームの設置で、異物クレーム6割減

 たこ焼の自動焼成ラインでは「メイン具材のタコを自動投入する機械を使っていたが、投入漏れを防ぐために、今は人手で実施。自動投入機の精度が上がれば、再度導入を検討していく」としている。
 型から外した「たこ焼」に、振動を掛けることで商品を回転させながら移送し、作業員は裏表がきれいに焼き上がっているか目視で確認する仕組み。振動に伴う騒音が耳障りな点が、今後の改善課題になっている。
 手焼きラインは、従業員が1個ずつ丸めながら焼き上げる昔ながらの屋台方式。ただ移送の無駄を省くため、完成した「たこ焼」は次々とコンベアに乗せて流し、凍結庫へと向かう。包装機も自動化(機械化)した。
 中国では毎日洗髪する習慣がないため、昨年、工場内に洗髪ルームを設置した。「従業員は作業終了後に必ず洗髪してから帰宅することを義務付けた。これにより13年は毛髪のクレームが6割も減り、大きな成果をあげた」(鈴木邦宏莱陽駐在員事務所代表)という。

タコ焼(自動焼成ライン)

今後は「機械を使いこなす人材の育成へ」

 ノースイの現地駐在員事務所の責任者、鈴木邦宏部長は「中国で作る(手作業の)メリットを活かすため、無理、無駄は『宝の山』と捉え、ラインの見直しを日常的に考えていく」という。また「機械化は進んだが、これからは機械を使いこなす人材の育成が大切。例えば、焼き具合を客観的に観察しながら、機械・設備を微調整できる、ということ。それによって初めて機械化が生きてくる」と語っている。
 小さなカップ惣菜などの弁当商材は、今も従業員がひとつずつ手作業で詰めている。この部分だけでも「自動充填機などを導入して合理化が図れないか検討したが、結局、手作業のような繊細さがなくなり、一時断念している状態」だという。
 2013年の日本への出荷実績は「前年比15%増で着地。14年も同程度の伸び率を期待している」という。
 同社は山東龍大冷凍食品の他、山東神龍食品という合弁会社を持ち、惣菜や弁当商材などの調理冷凍食品、たこ焼などのスナック商材、冷凍野菜のリパックを主力に事業展開している。いずれも龍大食品集団との合弁事業として展開している。山東省莱陽市への進出は1995年と早かった。中国での内販事業は今現在ない。「既存の仕事の中にも未開拓分野が多く、この分野を切り拓くのが先決。日本のユーザーと一緒に新しいチャネル開発を進める中で、未開拓分野を模索していく」(同社)方針。
 同社の北原和英常務は「パートナーの龍大食品集団と過去数年進めてきた生産ラインの機械化は、ほぼ一段落した。これまで人の目と手と足に頼ってきた部分は、機械に置き換えることができた。ただ全てを機械に任せるのでは、中国で作る意味がない。人手と機械を融合させた高品質な商品づくりを進めていく」と語っている。

タコ焼(手焼きライン)