日本政策金融公庫が食品関係企業の高齢社会への対応を調査したところ、安心・安全に加え、「少量」「食べやすさ」といった消費者の利便性も重視していることがわかった。
食品関係企業の高齢化への対応は「安心・安全面の強化」が36.1%と最も多く、次いで「商品の少量化」が25.6%、「原材料や商品の品質向上」が24.4%となった。さらに、「商品の個包装、小分け化」が19.9%、「食べやすい大きさ・形状・硬さへの変更」が17.2%と続いた。
8年前の調査結果では「安心・安全面の強化」(47.3%)や「原材料、商品の品質向上」(23.8%)、「健康機能の強化」(22.3%)など商品の質的な面での高齢化対応に重点が置かれていたが、今回の調査では、少量化など量的な面も重視するように変化したことがわかった。
業種別に高齢化への対応をみると、小売業では「商品の少量化」が53.1%と突出し、食品関係企業全体の2倍、製造業の2.3倍になった。また、「商品の個包装・小分け化」も小売業では33.2%と極めて高かった。対して製造業では「安心・安全面の強化」(34.7%)、「原材料や品質の向上」(27.1%)、「健康機能性の強化」(18.2%)の順で高齢化への優先的な対応を図っている。
こうしたことから製造業では質的な面を重視している一方、消費者と直に接する小売業では量的な面での対応にも重点を置いていることが明らかとなった。
調査は食品関係企業(製造、卸、小売、飲食店)6870社が対象。有効回答数は2611社。