ＡＩ搭載のＸ線検査機、省人化対策に有効
異物検査機メーカーの�螢轡好謄爛好�エア（新潟県長岡市、山田清貴社長）はＡＩをオプション搭載した「Ｘ線検査機」と「かみこみＸ線検査機」の提案を強化している。
従来のＸ線検査機では判別が難しかった残骨などの微小異物や、薄い包材のシール部の異物を検出し、良・不良をＡＩが判別する。目視検査人員を削減し、省人化対策に有効として食品工場を中心にコロナ禍でも導入先を広げている。
「Ｘ線検査機」は独自開発の高精度デュアルエナジーセンサーを搭載した。エネルギー帯が異なる２つのＸ線で撮影した透過画像を高解像度処理することで、異物だけを鮮明に浮き上がらせることを可能にした。
たとえば牛丼の具など食品が重なった状態でもミリ単位の残骨を検出するほか、袋詰めされたウィンナーの折れも判別できる。
微小異物の検出精度も高い。医薬品原料の袋入り粉末から高さ0.127mm×幅0.140mm×長さ0.552mmという微小異物の検出を可能にした。同社によれば「サンプル品を使用したテストを10回行って10回とも検出できた」という。
牛丼の具の残骨やウィンナーの折れを検出する「Ｘ線検査機（ＳＸ3671ＭＷ）」（同社ＨＰから）
Ｘ線と光学カメラのハイブリッド検査機
包材のシール部の噛み込み検査に威力を発揮する「かみこみＸ線検査機」は、従来のＸ線検査機の技術に光学系のカメラを加えた。Ｘ線と光学系カメラで撮影した２つの画像を合成することで、Ｘ線の画像だけでは捉えられない包材のシール部を確実に特定し、異物を検出する。「当社だけが持っているハイブリッドな検査機」（マーケティング部の斉藤寿満部長）。
包材のシール部は肉薄のためＸ線が透過してしまい、わずかな影を検出しても、それがシール部の異常かどうか判別がつきにくい。そこで、光学系カメラで包材全体の画像を取得し、Ｘ線が捉えた影とかけ合わせることで、シール部の異物かどうか正確に判別できるようにした。
この仕組みによって、これまで噛み込み検査が難しかったアルミ蒸着の包材（菓子個包装品など）や、包材のしわや折れを拾って誤判定してしまうケースでも高感度検査を可能にした。
「Ｘ線検査機」、「かみこみＸ線検査機」ともにＡＩをオプション搭載できる。異物の判別精度を高めることで誤検出を抑え、歩留まりの改善効果が期待できる。
「かみこみＸ線検査機（ＳＸＳ2154ＨＣ１Ｄ）」はＸ線と光学系カメラで撮影した２つの画像を合成して異物を検出する（同社ＨＰから）
操作性は国内外で高評価
システムスクエアの検査機は以前から操作性の高さに定評があるが、さらなる使いやすさへ向けた開発を加速している。
斉藤部長は「2006年頃から金属検出機にカラー画面を搭載するなど、この業界でユーザーインターフェースの重要性に着目したのはおそらく当社が国内では初めてだろう」と語る。
食品製造現場では、装置の操作が複雑で分かり難いことに潜在的な課題があった。ユーザーインターフェースの重要性は当初こそ理解されなかったが、次第に操作性の良さが支持されるようになり導入先が広がった。
中国市場でも評価が高い。Ｘ線検査機は各国で開発が進み、性能差は縮みつつある。しかし、「使いやすさ」という数値化できない感性的な性能はコピーされにくい。斉藤部長は「中国のあるユーザー企業で、各国の検査機を並べて能力を比較された際、当社の装置が最も使いやすいとして選ばれた」と話す。良いデザインは国境を越えて支持される好例である。