高コストの輸出工場から、内販専用工場の新設へ

 水産加工品の他、餃子、焼売、春巻などの調理冷凍食品を生産するアグレックスサイゴン社は、製造する9割が輸出用。フランス、ドイツなど欧州向けが3割ほどあり、最近オーストラリアとの取り引きも始まったという。対日輸出は3年前まで45%以上を占めていたが、「前社長が得意先を伴って新会社に移籍したこともあり、35%程度まで減少している」(ンゴ・ビン・ロン社長)。内販事業は約10%。ベトナムに進出する韓国系スーパー「ロッテ」や、ドイツに本部を置く「メトロ」などの大手に納入している。

アグレックスサイゴン社の調理冷凍食品ライン

 ただし「内販商品の品質は輸出用と同じで、工場も兼用しているためコスト高は否めない。購買層も富裕層に限定される」という。今後、工場を新設する計画があり「このうち1ラインを内販専用に考えている」。「コストの安い工場に生産委託する方法も検討する」という。ロン社長はベトナムの冷凍食品市場の可能性について「大きく発展すると確信している。5年、10年後には今のシンガポールやタイと同規模まで成長するだろう」と語る。

 カウチェー社は水産加工をメインに、ベトナム料理の代名詞と評される春巻や、餃子、焼売、かに爪フライなどの冷凍食品の他、ベトナム麺「フォー」も生産している。茶の自家農園を持ち、烏龍茶やゴーヤ茶も生産、台湾、中国、フランスへ輸出している。年商は約1兆ベトナムドン(約47億円)。創業時の輸出80%・内販20%の構成比が、今は輸出60%・内販40%と大きく変化。輸出が前年比5〜7%増ペースで伸びているのに対し、内販は100〜200%の勢いで急速に拡大。チャン・ティン・フォア・ビン社長は「今後3年間で輸出と内販の比率は50%ずつになる」とみている。

 3〜5年後に新工場建設を予定。「今は輸出向けの手作り商品が主力だが、新工場は自動化を進め、工場の稼働率をあげる」方針。内販は大手スーパーが中心で、高品質な商品のみ。購買客は中間層から富裕層に限定される。そこで昨年から「収入が中間層以下の人でも手が届くボリュームゾーンを狙った冷凍食品の研究をスタート。来年には自社ブランド商品として発売する」(ビン社長)計画。

日清製粉グループが来秋の稼働めざしてパスタソース工場を建設中

 日清製粉グループ本社と日清フーズは、このほどベトナムのホーチミン市近郊に現地法人を設立し、パスタソースなどレトルト食品の調理加工食品工場を建設する。来年秋の稼働をめざしている。「日本国内向けの供給拠点のほか、将来的なASEAN地域の市場開拓を目的としたもの」(両社)。パスタソースを皮切りに、「高品質の製品を供給していく」考え。