買掛照合業務にAI導入、取引先600社へ利用拡大

 日本アクセス(東京都品川区、服部真也社長)は富士通が開発したSaaS型AIサービス「Fujitsu買掛照合AIサービス」を、取引メーカーとの買掛照合業務の効率化を目的に導入し、運用を開始した。事前の試験運用で買掛照合業務に従事するスタッフ稼働時間の削減効果が確認できたことから、2025年までに年間で約1万2000時間の削減をめざし運用開始に至った。

 約2年間の移行期間で約600社の取引メーカーの買掛照合業務で同サービスを利用予定。

 一方、依然多くの取引メーカーとの間で、紙の請求書でのやり取りが残っており、これをデータ化していくことで同サービスの活用範囲の拡大に取り組む方針。

 食品卸は取引メーカーとの買掛照合業務に膨大な時間と人手がかかるのが課題で、日本アクセスでは約80名が手作業で買掛照合業務を行っていた。作業負担の軽減と人為的なミスへの対策が必要だった。そこでAI技術の開発を先駆的に推進している富士通との協働により、同サービスの導入効果や導入後の業務モデルの検証を重ねた。

 経理業務では食品メーカーなどの取引先への請求データと自社台帳データの突き合わせを行い、会計帳簿に記載された買掛金の消込作業がある。同サービスはAIが過去の照合実績をもとに商品名や届け先名等を学習し、明細単位での各社請求データと自社台帳データの照合を行い、さらに照合した明細に対して、一致するデータのパターンにより、照合結果の正確性を示す消込確度を提示する。

 消込確度の高い明細に対しては“確度A”、消込確度の低い明細に対しては“確度E”といった重み付けをすることにより、消込確度の高い明細は手作業での照合を簡素化、確度の低い明細はより重点的に確認を行うなど、手作業による再照合の効率化が可能という。ヒューマンエラーの削減はスタッフの心理的負担の軽減にもつながるとみている。