味の素冷凍食品は関東工場の第一工場を建て替え、竣工したが、新工場を国内で手掛けるのはコメック東京工場以来23年ぶり。吉峯英虎社長はこれについて「新しいニーズに対応し、圧倒的な競争力のある生産体制を築くための取り組み」と説明している。
重点カテゴリーの1つと位置付ける業務用デザートが順調に拡大しているため「3年計画で新工場建設を進めてきた」(吉峯氏)。当初はデザートの生産を先行し、空きスペースは「将来の事業成長に備えて」(同社)確保する考えだったが、計画を前倒しして主力品のギョーザラインを増設し、10月20日稼働開始した。
もう1ラインの余地がある。
ギョーザラインは国内で、関東工場第二に1、中部に2、九州に1、国内に計4ラインあったが「需要に合わせ、フル3直で休日も操業を続けていた」(後藤隆之専務生産本部長)。新工場完成を機に、国内の各ギョーザラインは2直に戻す。これで国内の餃子ラインは5本となる。
海外でも餃子は北米(アメリカ味の素冷凍食品)、タイ(タイ味の素冷凍食品)、ポーランド(ヤボ社)、香港(香港アモイ社)で生産しており、グループでは9ラインとなる。
味の素冷凍食品は重点カテゴリーの1つと位置づけるデザートについて、自動化生産にさらに取り組む考えを示している。
業務用デザートは68億円規模だが「これを100億円まで、業務用だけで引き上げる」(吉峯英虎社長)計画。これを実現するには生産能力の増強が不可欠だった。これまで冷凍デザートの国内生産は子会社フレックデザートの本社工場(埼玉県比企郡吉見町)と北関東工場(栃木県真岡市)で手掛けていたが、これを新工場に集約。「さらに新工場のラインの自動化により、生産能力は従来の1.2倍」(後藤専務)とした。
また、デザートは他の商品以上にアイテムが多岐にわたるため「生産には多くの人手を要する」(吉峯社長)。しかし新工場では「できるものは自動化するよう、様々な研究を進めている段階」(同)。
同社の冷凍デザートは規模拡大が続いており、「社内でも大きなポジションになっている」(吉峯社長)。海外では中国の連雲港でも冷凍デザートを生産し、日本向けに供給している。
フリーカットケーキの包装工程
味の素冷凍食品は脱フロン対策を着実に進めている。国内の直営7工場には凍結機が計33基あるが、このほど新設した関東工場の第一工場を含め、半数近くの15基は自然冷媒に切り換えを終えた。
残る18基の凍結機についても「中期計画に沿って粛々と取り組む」(後藤隆之取締役専務執行役員生産本部長)。ただしフレックデザートに設置していた4基は関東第一工場の完成、集約に伴い、稼働を停止する予定であり、事実上は29基中15基の更新終了となり、過半数を超えている。
カップデザートの充てん後の冷却工程
カップデザートの凍結工程