キャベツの端材を乳牛飼料に加工、３Ｒ推進協が高評価
グリーンメッセージ本社工場（ＨＰから）
2018年度「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」が10月30日都内で行われ、キユーピーと子会社で業務用カット野菜の製造会社、�螢哀蝓璽鵐瓮奪察璽�（神奈川県大和市）が内閣総理大臣賞を受賞した。主催はリデュース・リユース・リサイクル推進協議会（細田衛士会長＝慶應義塾大学教授）。財務省や経済産業省など７省が後援。
受賞内容はキャベツの「未利用部」を乳牛用飼料に再生利用した資源循環の取り組み。審査では「高度な技術で他分野への波及効果が期待でき、経済的効果も高く、食品廃棄の問題解決に向けた責任ある活動」（木村文彦審査員長＝東京大学名誉教授）として高く評価された。
キャベツの千切りを製造加工する際、外葉や芯が加工残さとして発生する。キユーピーはこれを「未利用部」と呼んで、これまでは堆肥や染料の原料などに活用してきた。
今回新たな取り組みとして乳牛用飼料に加工することに成功した。なぜ乳牛用飼料なのか。授賞式でキユーピー研究開発本部の倉田幸治研究員は「�〕鑁晴箸楼堕蠹�に安価な飼料を確保できる��国産野菜を使うことで飼料自給率のアップにつながる��食品廃棄物の削減に貢献できるという“三方よし”につながる」と説明した。食品残さを活用した飼料は「エコフィード」と呼ばれ、国もその取り組みを推し進めている。
摂食量、乳量共に大幅増加
エコフィードを食べる乳牛（ＨＰから）
加工に際してはマーケットリサーチを徹底した。酪農家から挙がってきたのは「安全・安心な飼料」、「牛がよく食べる」、「安定供給」といった要望だった。
安全・安心な飼料として一般的にエコフィードは豚用が多い。牛用はＢＳＥ（牛海綿状脳症）予防のため動物由来たんぱく質の混入が禁止されており、通常の食品残さではこの担保が難しい。グリーンメッセージの工場は野菜のみを使用しており、全く問題はなかった。
また、スクリュープレス機を導入して未利用部を粉砕・脱水し、減容・減量化と共に乳牛に良くないとされる硝酸態窒素も基準値以下に低減することができた。さらに乾燥資材などをブレンドすることで良質な発酵を促し、安全で安心、長期保管可能な発酵飼料（サイレージ）に変換することに成功した。
実際に乳牛が食べるかどうかを調べた。乳牛は嫌いな餌は全く食べないと言われている。東京農工大学畜産学研究室と共同研究を進め、乳牛５頭に通常の餌の一部をサイレージに置き換えて２週間食べさせたところ、摂食量は20％、乳量が10％増加した。「飼料の有用性が高いと判断した」（倉田研究員）。
１日600�塋�の「ベジレージ」販売
安定供給については、酪農家から１日500�坩幣紊箸いν徊召�あった。当初は500�圓鬟侫譽�シブルコンテナバッグ（フレコンバッグ）と呼ばれる安価で汎用性の高い容器に詰めたが、腐ったり転倒したりすることが多かった。
そこで原因を究明し、発酵の制御因子である菌叢や酸素濃度、初菌数、水分率、初期ｐＨ、糖含量などをコントロールすることで良質な発酵を促せることがわかった。現在は「ベジレージ」という商品名で１袋600�圓魑佑瓩独稜笋靴討い襦�
飼料化事業はグリーンメッセージに加え、�螢汽薀瀬�ラブ（東京都調布市）の静岡県内の工場でも始まっている。キユーピーグループは国連の「ＳＤＧｓ（持続可能な開発目標）2030アジェンダ」に賛同し、2030年までに飼料化事業の全国展開を視野に入れる。またカット野菜工場からの廃棄分だけでなく、将来的には野菜圃場からの廃棄物にも対応し、「野菜系廃棄物をゼロにする」としている。
左から木村審査委員長、グリーンメッセージの林素彦社長、キユーピーの佐藤誠也取締役
上席執行役員、倉田研究員、３Ｒ推進協の細田会長