食品工場向け排水処理システム開発
分離膜技術で処理能力向上、処理水の再利用も可能

 日新電機は食品工場向けの接触曝気式排水処理設備「沈殿槽型ハイキューブシステム」に中空糸膜(分離膜)を適用した「分離膜型ハイキューブシステム」を開発した。接触曝気方式に最新の分離膜技術を融合させ、従来式を上回る処理能力を備えた。

 分離膜に住友電工ファインポリマーが製造する中空糸膜「ポアフロン」を採用することで、処理能力は従来型である標準活性汚泥方式に比べ約5倍、「沈殿槽型」の約2倍に向上。既設の排水処理設備に大規模な沈殿槽を増設することなく、処理量を増やすことが可能となる。
 これにより、沈殿槽や消毒槽を設ける必要がなく、曝気槽も小型化できるため、標準活性汚泥法による排水処理設備に比べ、大幅に設置面積を縮小できる。例えば、日量処理水が200㎥、BOD濃度1500mg/Lの場合、標準活性汚泥法の約40%のスペースで同等に処理できる。
 除菌も可能な分離膜を採用しており、処理水を中水として再利用することができ、循環型社会における水資源の有効利用に適応する。分離膜はPTFE製で、微細層と粗い層の2層構造となっており、寿命は従来の約2倍で、膜交換に伴う発生費用も抑制できる。
 分離膜を使用する上で大きな問題となるのが洗浄だが、同社が開発した分離膜自動洗浄システムを搭載することで、目詰まりによる機能低下を抑制できる。

 処理量を増やしたいが敷地に制約があるユーザーや、処理水の再利用ニーズを持つ食品工場を中心に営業をはかり、従来の「沈殿槽型」も含めて2011年度国内で10億円の売上げを目標にしている。