「省エネ型IHロータリー式自動フライヤー」
(マルゼン)
(一財)省エネルギーセンター(東京都港区)は省エネ推進の優れた取り組みや省エネ性能が高い製品・ビジネスモデルを表彰する「2021年度 省エネ大賞」をこのほど発表した。コロナ禍でも例年を超える120件以上の応募が寄せられ、このうち60件が受賞した。
食品産業関連では厨房機器メーカーのマルゼン(東京都台東区、渡辺恵一社長)が「省エネ型IHロータリー式自動フライヤー」で省エネルギーセンター会長賞を受賞した。
傾斜した油槽に複数の羽根を取り付け、羽根が底面に沿って半周回転しながら食材を揚げ、自動で搬出する仕組み。搬送羽根が複数あるため、から揚げやポテト、天ぷらなど多品種少量メニューでも同時に揚げることができる。調理工程の大幅な省力化と省エネを実現した。
食材をどの位置から投入するかで揚げ時間を調整でき、調理ミスのリスク低減や食品ロスの削減に効果がある。
また、IH加熱方式を採用したことで油槽の底面がフラットになり、油量削減や清掃性の向上につながった。調理面積が同じ電気式やガス式のフライヤーに比べて油量を32%削減、立ち上がり時の消費電力を15.4%削減した。さらに、ECOモードでは設定より20℃下げて温度制御することが可能になり、アイドルタイムが2時間の場合、16.9%の消費電力の削減効果が見込めるという。
羽根で食材を揚げながら自動で搬出する、多品種少量の油調に最適
空調設備の設計施工を手がける三建設備工業(東京都中央区、松井栄一社長)は「ゼロエネ予冷・再熱」の除湿給気ユニットで同会長賞を受賞した。
低湿度環境が求められる食品工場などで効果を発揮する冷却除湿・再熱型の空調。取り込んだ外気を熱交換器であらかじめ冷却(予冷)し、すでに冷却除湿された給気の再加熱とエネルギーを相殺することでエネルギーの使用量を抑えるという。
食品工場の導入ケースでは、夏期の除湿にかかる一次エネルギー消費量とCO2排出量を78%削減し、ランニングコストは82%削減した。投資回収年数は2.5年という経済性を実現した。
このほか、計測・制御機器メーカーのテイエルブイ(兵庫県加古川市、藤原綾子社長)は無線モニタリングの技術を活用した蒸気使用設備の管理システムで、経済産業大臣賞を受賞した。蒸気系統の熱損失や設備トラブルを回避するとして高く評価された。
東芝キャリアは環境負荷が低い冷媒R32とロータリー圧縮機を採用した高効率の空冷ヒートポンプ式熱源機で資源エネルギー庁長官賞を受賞した。
省エネルギーセンターは「ENEX2022 第46回地球環境とエネルギーの調和展」を東京ビッグサイトで1月26〜28日開催し、初日に表彰式を行う。また、会期中は今回の受賞企業の製品内容を紹介する。