食品工場は人手不足が深刻化している。しかし計量や袋入れを手詰めで作業している工場が少なくない。それだけ更新の余地がある工程でもある。グランパックスの自動計量供給機は付着性食品の計量に強い。2015年、新規の納入が相次いだ。
堀内社長
同社の主力機種「KIZ型自動計量機(付着性食品自動計量機)」。テフロン樹脂の送り羽根を搭載して具材を送る機構で、濡れている食品や湿っている食品、固まりやすい粉体を自動計量する。高性能の強固なロードセルと高速高分解能アンプなどを駆使しており、同一装置で5g〜400g、50g〜1kgというように幅広い範囲に対応する。部品交換すれば3g〜1kgを自動計量できる汎用型もある。
じゃこ、生しらす、半乾しらす、鮭フレークなどの水産物から、かつおでんぶ、桜でんぶ、肉そぼろなどの“ふりかけ”製品、さらには佃煮、米飯、カレーのルウ、五目ごはんの素、茹で小豆、刻みチーズなど計量できる食品は幅広い。イクラは醤油イクラはもちろん、塩イクラも、軟らかい鱒っ子もつぶさずに精度良く自動計量できる。こうした機能が支持されてアラスカにも導入された。
マイナス計量なしで排出途中の付着もほとんどない。マイナス計量が出たら、フィードバックして追添するようにシーケンサーが働く。排出用シュートは腐食のない太い金網を使ったり、上下に揺さぶったりして付着を防ぐ。
「特に喜ばれているのが、部品交換が簡単にでき、洗浄がしやすい点です」と堀内邦啓社長。部品交換はおよそ10分。水産加工品や漬物、惣菜など、同社の自動計量供給機を重宝しているメーカーは多いが、近年ではコンビニ系のベンダー工場からも人気を集めている。ポテトサラダやごぼうサラダ、カレーやシチューなど粘性のある食品、スープなどの計量・充填用に導入。アイテム数が多いため、切り替え時間を短く済ませたいという工場では、洗浄や組み立て作業が非常に簡単なことが人気を後押ししている。
鮭フレークの自動計量自動ビン詰め装置
「昨年、一昨年と比べ、2015年は忙しい日々が続きました」と振り返る。それまでは商談があっても、予算申請の関係で話の段階での中断が多く、その先までは時間がかかることが多かった。しかし、15年はすぐにでも導入したいという声が多く聞かれた。「半年先の受注まで確定しています。その先も好感触。しばらくの間は忙しい日々が続きそうです」と語る。
機械納入の窓口は様々。同社の場合、既存ユーザーによる増設・更新がおよそ3割。口コミで評判が広がり、新たな接点を持つユーザーもおよそ3割という。残りはFOOMAやJAPAN PACKなど大きな展示会への出展であり、ホームページ閲覧であった。すぐの納入とはいかなくても、地道な活動はじわじわと効果が表れている。
2015年は口コミによる評判が特に多かったと語る。「北海道や東北の食品メーカーからは イクラや鮭フレークを計量したいと要請がありました。どのユーザーも新規のお客様だったので正直驚きました」と堀内社長。聞けば、知人や付き合いのある食品メーカーからの口コミがきっかけだという。
「この鮭フレーク。2015年は特に動きがありました」と堀内社長。宮城県と新潟県では、食品メーカー3社が同社の自動計量供給機を導入した。2社は設備更新、もう1社は鮭フレーク事業を新たに始めた会社だった。
「新事業や更新ラインに当社の機械を選んでいただき、大変うれしい。その期待に応えなければなりません」と気を引き締める。
鮭フレークも、イクラの計量も同社が得意とするところ。「しかし、まだ未知のお客様は多く、これには満足していません。より多くの方に当社の強みを知っていただきたい」と決意を新たにする。
忙しい日々が続いた2015年。計量作業を省人化したいユーザーへの提案はすでに動き始めている。
「お客様が人手不足で困っているところを、私たちの知恵でなんとか解決出来ればいいですね。当社は機械メーカー。“ありがとう。この機械のおかげで助かっているよ”と喜んでいただけるのが本当にうれしい。難しい技術に挑戦する。夢で終わらせるのではなく、それを実現したい。だから自分の知恵のなさをいつも思い知らされながら、自分の知恵を鼓舞するしかありません」。
いくら500g自動計量パック詰め装置
ソフト振り掛け毎分50袋を自動計量機