公設卸売市場の再整備事業に参入、第１弾は富山市
大和ハウス工業は老朽化が進む公設卸売市場の再整備事業に本格参入する。第１弾として「富山市公設地方卸売市場再整備事業」（富山市）の本体工事にこのほど着手した。同社は創業以来、食品工場や冷凍・冷蔵倉庫など食品関連施設の施工を多数手がけており、ＨＡＣＣＰに対応した施設の設計施工も得意としている。こうしたノウハウを活用し、全国各地の再整備事業に積極的に応募する。
「富山市公設地方卸売市場再整備事業」は市場の建て替えと同時に、余剰地を活用してスーパーマーケットやホームセンター、大型家具店などを誘致する。敷地面積約11万8000�屐�延床面積約３万4000�屐３�業は2026年３月を予定している。
「富山市公設地方卸売市場再整備事業」の竣工イメージ（大和ハウス工業のホームページから）
1973年に開設した同市場では生鮮食料品の取扱い数量が年々減少しており、2016年度の青果物はピーク時の約１／２、水産物は約１／３にまで落ち込んだ。余剰地の活用には富山市の財政負担を抑えるねらいもある。
富山市に限らず、1970年代に建設された中央卸売市場や地方卸売市場が全国に約200カ所ある。約半世紀が過ぎ、設備の老朽化や耐震性の不足など多くの課題を抱えている。
全国の中央卸売市場の取扱い金額は2006年度の約４兆6796億円から2019年度には約３兆5767億円にまで低迷しており（農林水産省調べ）、多くの卸売市場が取扱量に対して過大な施設規模になっている。このため、全国各地で民間企業を活用した再整備が進む。
大和ハウス工業はこれまでに食品工場を約900カ所建設してきたほか、物流施設は3000棟以上を開発している。こうした施工実績を強みに再整備の公募案件を獲得していくとみられる。