【年頭所感】
生活産業の生産の高度化に寄与する 
日本包装機械工業会 大森利夫会長

    大森会長

 2019年度のわが国の包装機械産業の生産実績は、国内の設備投資が順調に増加したこと等から、わずかながらも対前年度比1.5%増の4718億円となり、10年連続で対前年を上回った。今後、国内市場の大幅な伸びが見込めない中、成長する新興国市場等において、これまで以上に各市場の発展状況に応じた国際化戦略が求められている。

 また、包装機械を含めたものづくり産業を取り巻く経営環境は大きな変革期にあり、さまざまな分野においてIoT、ロボット、ビッグデータ、AIなどの先端・デジタル技術を活用しながら産業のイノベーションを起こしていくことが、製造業のみならず社会全体への進化につながるものと思われる。その実現に向けて、企業・業界の垣根を越えた産官学の連携を強化し、新たな付加価値を高めていくことが必要不可欠と考える。

 わが国の包装機械産業はコロナ禍にあって改めて食品、医薬、日用品・化粧品、流通等の生活産業をはじめとしたすべての需要産業の生産の高度化に寄与することで、安心・安全な生活基盤に貢献すると同時に、少子高齢化等の社会構造の変化、海洋プラスチック問題等の環境問題、食料問題等の課題解決に向けても積極的な取り組みを強化したいと思う。このような社会課題には一組織だけでは解決できない課題も多く、関連するサプライチェーン全体の企業・団体等とも協力して活動を進めることにより、包装産業の技術高度化、人材育成、広報、展示会等の事業を幅広く展開する。これらの事業を通じて会員のベネフィットにつながる事業の具現化にも努めていく。

 当会の最大のイベントである「JAPANPACK 日本包装産業展」は延期され2022年2月に東京ビッグサイトで開催する。前回より展示会の日本名を日本包装産業展と新たにし、国内外の最新鋭機器・技術・サービスの展示や製造ライン全体にかかわる最新トレンドを提供することにより、需要業界の課題解決策に向けた包装総合展としての展示会をめざす。また、人々の生活基盤を支える包装産業としてウィズコロナ、アフターコロナに伴うニューノーマル対応等の取り組みも強化する。リアル展示会の良さの追求とバーチャルへの挑戦などの新たなビジネスの発展にも貢献していく。