【年頭所感】
全体最適を志向したロジスティクスの高度化へ
日本ロジスティクスシステム協会 遠藤信博会長

    遠藤会長

 労働人口の減少含め、社会構造が大きく変動する中で、社会・産業の持続可能な発展のため、経済活動のあり方や業務プロセスを見直し、さらなる企業活性を図る事が不可欠。
 各企業においては、調達から生産・販売・物流等の経済活動の最適化を図るための戦略であるロジスティクスを重要な経営課題として捉え、全体最適を志向した社内連携、企業間連携を図っていくことがますます求められている。
 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)では、需要と供給を同期化させるロジスティクスのあるべき姿を「ロジスティクスコンセプト2020」として取りまとめているが、今年も引き続き、このコンセプトの実現に向けて活動を展開していく。
 JILSが取り組むイノベーション事業の1つとして、2016年に活動を開始した「ロジスティクスIoT推進部会」では、荷主・物流事業者とソリューションベンダーのマッチングを目的とした「NEXTロジ創造ミーティング」を今年3月に開催するほか、産業界の課題解決に向け、行政との連携も視野に入れながら活動を継続していく。
 「ロジスティクスKPIの推進」および「物流現場改善活動の推進」にあたっては、今年3月までにポータルサイトを開設し情報発信を強化する。
 また、2018年に実施したグローバルSCMに関する米国現地調査や有識者で構成された研究会活動を通じての課題認識を踏まえ、今年はロジスティクス総合調査を実施、「ロジスティクスコンセプト2030」として取りまとめ、2020年1月に発表する。
 ロジスティクス人材の確保や育成活動では、階層別、分野別の各種講座、セミナー等の開発、実施を行うとともに、学生のためのロジスティクス・物流研究プロジェクトの推進に取り組む。多様化する人材育成のニーズに応えるため、e-ラーニングによるコンテンツの開発にも着手する。 
 加えて、ロジスティクスに関する課題解決のための情報発信・技術交流の場である「ロジスティクスソリューションフェア」を今年8月に開催する。さらに、産業界からの多くの要望を受け、2020年2月には、労働力不足解決に向けた国内外の最新物流機器・システム・情報等のハードとソフトが一堂に結集する「国際物流総合展 INNOVATION EXPO」を開催する。
 今年は、当協会の活動拠点の1つである中部支部が設立20周年の節目の年となる。当協会は、今後とも、わが国産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、経済産業省ならびに国土交通省等、関係各省庁の施策と歩調をあわせるとともに、産・学との連携を強化し、全力をあげて課題に取り組んでいく。