〈年頭所感〉
包装を通じて人と人を紡ぐことが使命
日本包装技術協会 磯崎功典会長

    磯崎会長

 この3年間、パンデミックに翻弄されながらも、ウイズコロナの新しい生活様式で求められる社会課題と向き合うことで、私たちはこのウイルスに対する知見を積み上げてきた。同時に、急激にデジタル化が加速し「在宅勤務」「Web会議」など、職場環境や生活スタイルは「集合」から「個」への変化を余儀なくされた。

 当会は、講習会運営や展示会開催など、人と人との出会いの機会を提供することが主な活動。当初は対応に大変苦慮したが、オンライン配信やWeb会議などを導入し、積極的な事業展開を行い軌道に乗り始めている。こうしたデジタル化が進む一方、リアルな交流が妨げられたこの3年間は、人と人との繋がりがいかに尊いものであるかを、私たちに再認識させる好機になったともいえる。

 昨年、当会が開催した「2022東京国際包装展」は、会期3日間に16万人以上の来場者を迎え盛況にて閉幕することができた。また、過年はコロナ禍により中止となった催事をリアル開催するなど、少しずつではあるが収束に向けた光明が感じられた年でもあった。これも人と人との繋がりを求め、その出会いの活力から新しい商機への着想を生み出すという、人間本来の持つ強い意識と感じている。

 政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルをめざすことを宣言しており、包装業界としても環境問題への取り組みは避けて通れない重要課題になっている。

 海洋プラスチックごみが世界的な環境問題になっている。「包装」は生産物の流通や消費に直接結びつく大切な技術であり、世の中の要求に応じて進化していく必要がある。

 商品(中身)を保護し、安全に消費者に伝達することが「包装」の持つ大切な役割であることはいうまでもないが、役割を全うした後は、リサイクルにより再資源化される以外の包装廃棄物が「ごみ(不要物)」になるという包装の持つ課題を、私たちの英知で解決して行かなければならない。

 包装業界の取り組みを広く消費者に伝える取り組みのひとつとして、今年10月に当会は「暮らしの包装商品展」を開催する。身近なところで日々進化し、環境配慮、鮮度保持などさまざまな側面から私たちの豊かな暮らしを支えている包装の重要性を広く消費者(生活者)に伝え、包装業界の環境問題に対する誠実な姿勢を伝える好機になると考える。

 当会はこれまでも会員、業界、社会の間に存在し、包装への理解、啓発を通じて「人と人とを繋げる」ことを使命とし、諸活動をしてきた。これからも会員からの要望に応えられるよう包装の業界団体として責務を全うし、存在意義を高める努力をしていく。