初のハイブリッド漁法「第十八宮丸」が進水

 宮丸漁業(宮城県女川市)は静岡市清水区の三保造船所で第十八宮丸の進水式を1日行った。本船は水産庁の漁船漁業構造改革推進事業(もうかる漁業)の認定をうけ、建造が進められている。特徴は、秋から春までは南方海域で海外まき網漁業、夏場はビンチョウ釣り漁業と2つ漁法で操業する初めての試みで「ハイブリッド漁法」と呼ばれている。完成は来年の3月を予定している。

第十八宮丸

 この2つの漁法を行う理由は、WCPFC(中西部太平洋水域)でのメバチ規制で海外まき網船のFADs(浮魚礁)操業禁止期間があり、今後、さらに長くなる動きがある。その禁止期間はビンチョウの一本釣りの漁期でもあるため、禁止期間でない時は南方漁場でまき網操業を行う二本立てのコンセプト。そして、カツオ一本釣り船と海外まき網船と2隻あったものを1隻として、年間漁獲量、水揚げ金額を84%とする。経費削減をして漁労収支を16%改善しようというのが基本計画。

秋から春は海まき、夏はビンチョウ一本釣

 本船のポイントは、まき網と一本釣りの仕立て直しを大規模に行うもので、一本釣りの場合は船の艫の部分に釣台を設置するほか、シュート、コンベア、餌の蓄養装置などが必要で、餌の蓄養はブライン凍結槽を代用する。また、まき網の場合は釣台を撤去するなど、シーズン毎に大掛かりな仕立て直しとなる。
 また、本船は一本釣りとまき網漁船の兼業改革型に加えて、省エネ船としての設計を取り入れている。冷凍装置のNCシステム式電子膨張弁や、プロペラボスキャップフインの採用、冷却水のインバーター制御、暴露部に熱反射塗料を採用など、1日0.5t程度の燃料を削減、年間で5%ほどの省エネとなるという。