国分は茨城県石岡市に大型3温度帯汎用センターである「国分茨城総合センター」を昨年9月開設した。「北関東エリアの物流の中核をなすだろう」。国分関係者の多くがそう口を揃え、同センターの機能に期待を込めている。
国分茨城総合センターの外観
茨城県の中央に位置する石岡市。その地に建つセンターは常磐自動車道の石岡小美玉スマートICから5分という好立地にあり、茨城県を中心に千葉県、栃木県、福島県をカバーする。既存の茨城センター(常温食品)、水戸センター(酒類・菓子)、石岡センター(チルド・フローズン)、KFC水戸センター(冷菓・アイス)の機能を集約した。
1万3000坪という広大な敷地に建つワンフロアのセンターは延床面積6000坪。常温が4000坪、冷蔵庫950坪、冷凍庫540坪。そのほか洗浄室や採暖室を設けている。
在庫型、通過型センターの機能を持ち、入出荷バースは常温で61基、低温で36基と大規模な物流にも対応できる。ワンフロアにより上下搬送機器の投入コストを削減するとともに、庫内や配送作業の効率化を格段に引き上げた。同社は多くの物流施設を有しているが、階層型がほとんどだったため、今回のワンフロア型には特別な思いを込めている。
常温で約19万ケース、低温で3万5000ケースの保管能力を持ち、常温1万500アイテム、低温900アイテムを扱う。得意先件数は組織小売業50社、独立小売業200社。
取り扱うアイテムの種類と数の大きさが際立っている。常温庫の一画には菓子(主にチョコレート)専用の保冷庫を設置。庫内は10〜15℃に設定している。低温スペースには冷蔵庫と、3室からなる冷凍庫。向かって左はアイスクリーム、中央が冷凍食品を保管。右の部屋は冷蔵にも冷凍にも切り替えられる。
デジタルアソートシステムには、固定DASと無線DASを使用する。特に無線DASは配線がなく、仕分けレイアウトがフリーになるため、スペースの有効活用と柔軟性の高さで威力を発揮する。1つの作業が終われば、別の作業をその場ですぐに取りかかれるため、入出荷ともに多い、同センターのような現場では欠かせないシステムとなっている。
環境にも配慮し、冷凍設備の電気容量を集中して管理するデマンドコントロール機能を使用し、適切な電気容量を常に供給する。倉庫の外周や、低温倉庫内への出入り口には監視カメラを設置し、入退出の制限と履歴管理を同時に行う。
近年、同社は問屋機能を充実させるため物流関係に力を入れている。
20年前から「3OD」(One Order One Delivery)というコンセプトを掲げ、ドライグロサリーや菓子、酒類の一括受注・一括配送を進めて独自の地位を築いてきたが、顧客のニーズはより複雑化し、高度なものとなってきた。
そこで、同社ではもう一歩踏み込んだ形、低温や生鮮にも応じられるよう動き出している。それが新たなコンセプト「3OD+PLUS(スリー・オー・ディー・プラス)」。このコンセプトのもとに誕生したのが、茨城総合センターであり、先行開設した板橋総合センター(東京都板橋区、2015年2月)である。
昨年11月には仙台に総合センターが完成、この1月には西東京に昭島総合センターが開設するなど、その勢いは止まらない。
大久保国分関信越社長
同社は1月グループ組織を再編する。現在の本社・支社・事業部とグループ各社からなる体制を7社のエリアカンパニー(AC)と2社のカテゴリーカンパニー(CC)、ヘッドクォーターカンパニー(HQ)に再構築することで、盤石な経営基盤を確立する。相次ぐ総合センターの開設と合わさり、まさに老舗卸が平成の大改革に乗り出している。
このため2014年から全国の各エリアでグループ企業の統合を進めているが、茨城総合センターを使用する国分関信越(株)では埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県のほか、昨年新潟県と長野県が管轄エリアに加わった。
国分関信越の大久保徳政社長は「日本海から太平洋を結ぶ会社になろう、とスローガンに掲げている。この茨城総合センターを地域戦略センターと位置づけ、茨城のあふれんばかりの農産物や海産物を他の地域に運び、いかにユーザーに満足していただけるか。太平洋と日本海を結ぶセンターにしていきたい」と語っている。