コンビニ新時代、遠隔操作ロボが商品を陳列

 ファミリーマートは遠隔操作ロボットを使った商品陳列の試験運用をこのほど開始した。遠隔地から1人で複数店舗の作業を行うことができるため、人手不足対策と非接触対応を同時に実現できる。ロボティクスを軸としたまったく新たな試みで、新時代にふさわしい店舗運営の在り方を探る。

 ロボットシステム開発のスタートアップ、Telexistence(=テレイグジスタンス、東京都港区)と協業し、同社が開発した遠隔操作ロボット「Model-T」を活用する。

 試験運用の第1段として、東京都豊島区内にある店舗のバックヤードにロボットを設置し、業務量の多いペットボトル飲料の陳列作業から開始した。作業員はTelexistence社の東京虎ノ門のオフィスでVR(仮想現実)端末を使って操作する。

 「Model-T」はバックヤードなど狭小空間でも作業が行えるよう、ロボットの胴体・アームには計22自由度(軸)の関節を実装した。人間のように作業が行えるため、導入に際しての店舗改修は最小限に抑えられる。

 遠隔操作ロボット「Model-T」、真空吸引と2指グリッパーを組み合わせたハンドが特徴

映像の伝送遅延を解消、50ミリ秒を実現

 遠隔操作するオペレーターとロボットの間で映像伝送をする場合、どうしても誤差(遅延)が生じる。これをどこまで小さく制御できるかがカギになるが、「Model-T」は業界最高水準の50ミリ秒(1000分の50秒)を実現した。操縦者は視覚と身体感覚とのずれを感じることなく、正確に操作できる。

 ロボットハンドは多種多様な形状の商品を把持することに特化し、真空吸引と2指グリッパーを組み合わせたロボットハンドを開発した。これまでのように、商品ごとにロボットハンドを取り換える手間をなくした。

 今回の試験運用は店舗への本格導入を前提に行うもので、ロボットによる陳列速度や精度を検証する。その後は飲料にとどまらず、おにぎりやサンドイッチ、弁当などにも作業カテゴリーを広げ、2022年度までに最大20店舗に導入する考え。ファミマ全店に拡大することも検討するとしている。

    遠隔操作の試験運用の様子、左が店舗のバックヤードに設置した「Model-T」