野口正見の「5S活動による食品工場改善」
よりよい食品工場をつくる5S活動エピソード −11−
新工場の設計・建設

 プロジェクトチームを組織し、与えられた敷地、予算、生産品目などの条件をもとに、老朽化した旧工場・建物では出来なかったこと、例えば従業員の福利厚生施設改善、HACCP対応のための汚染区・清浄区の区分、環境対策などを各現場、間接部門と議論を重ねて推進し、実現した。5S活動、ISO14001の活動で培った自主性を如何なく発揮した成果であった。社長は見守るだけで良かった。
 食堂を工場の中で最も見晴らしの良い、日当たりのよい南側に配置し、ファミリーレストランチエーンの食堂部に運営を委託する選択をしていた。
 食事はA定食、B定食と麺類の3品から選択が出来て、食材はそのレストランのものと同じであった。派遣された料理人も誠実で腕も良く、各料理にはカロリー表示もされていた。従業員には非常に評判がよく、会社の従業員に対する気配りとして評価され、会社の移転、2直体制の導入などの改革を乗り越えて信頼感を獲得した。
 5S活動を実践、定着させるには、まず従業員の身近なことから整理し、整頓し、清潔に保たねばならない。それは入口傘立てであり、下駄箱であり、ロッカーであり、食堂と休憩室である。
 これらを整備することにより、従業員は会社の本気度を感じ取る。現場が安全で安心して働けるよう管理されているか、風通しのよい風土であるか、これらもすべて安全な商品づくりのバックボーンとなる。失敗や不良品の発生はただちに報告し社外に出さない、報告した当事者、発見者には怒らないで、むしろ褒めることとした。信頼感がないとなかなか実現しないことである。