ターゲットはアジア富裕層、ニッチな市場で開花
ゼネラルパッカー 代表取締役社長 梅森 輝信氏(1)

 給袋や製袋、ガス充填などを自動化し、円周上に配置した各工程を連続処理する「ロータリー式包装」を得意とする。仕上がりの美しさ、品質保持、使いやすさを重視した袋やチャック付の袋、スタンドパウチなどの包装は、「日本式の包装に追いつきたい」というアジア各国のユーザーからの熱い視線を集めている。

       梅森社長

 ――製粉や菓子などドライ業界向けの給袋包装機械の分野では高いシェアを占めている。海外展開は。
 梅森 本格的に着手し始めたのは4、5年ほど前からです。先行している包装機メーカーは15年ほど前から海外進出していましたから、当社は出遅れていました。

 ――4、5年前といえばごく最近。意外だ。
 梅森 リスクを負ってまで海外に行かない、という方針が社内で長らく根付いていました。国内市場だけでも充分にやっていけたからですね。しかし、そうも言っていられなくなり、海外も意識しなければと動き出したのが、4、5年前。ちょうどその頃、欧州の大手ペットフードメーカーと商談が進み、先方が展開している世界各地域の工場に当社の包装機が導入されることとなりました。この実績を含めて海外売上げ比率は15%ほどになりました。

 ――海外事業のスタートだ。
 梅森 このペットフードメーカーへの導入により、いいスタートが切れました。しかし、大型案件はまとまった数値として実績となりますが、ない年との落差が激しくなります。毎年一定の需要がある市場を攻めていかなければなりません。欧米の包装文化は日本の文化との違いもありますので、日本の包装の後を追いかけている中国やアジア各国に焦点を合わせて展開しました。

 ――しかし、中国は他の日本の包装機メーカーが進出しており、またローカルの包装機メーカーとの競争も激しい。
 梅森 当社は他社に比べて出遅れた感があったのですが、実はそれが功を奏したともいえます。15年ほど前まで、中国では包装の文化がまだ根付いておらず、日本の高い包装機はなかなか受け入れてくれませんでした。そこでグレードを落としたり、値段を下げるなどして対応しなければなりませんでした。
 しかし、最近は事情が変わってきました。特に中国の富裕層は“高くても日本製”という傾向になっています。ローカル製と聞くだけでナーバスになっているユーザーもいます。異物混入や包装の滲出の問題、機体を鉄製からステンレス製にしてほしいなど、富裕層の求めるニーズは高まっています。その流れが、当社の海外展開に本腰を入れる4、5年前と重なったのです。

 ――この富裕層の占める割合が気になる。
 梅森 確かに、この層は上部に限られています。その数は全体の1割程度かもしれません。しかし、全体の数というのが日本と比較にならないくらい大きい。また将来的に富裕層自体の数が増える見込みもあります。
 つい最近も中国で立て続けに2件の納入が決まりました。両社とも日本製の設備で商品を作ったことを前面に押し出したいとの考え。その点を差別化して他社と競争したいそうです。両社とも日本で購入するのと同じ値段で決まりました。ローカル製と比べ3倍ほど高い。それでも“日本製がいい”と即決してくれました。

 ――値段が3倍違うとは驚き。
 梅森 富裕層にターゲットを絞ればニッチな市場かもしれません。ただ、クオリティの高い包装機を支持してくれるユーザーは、中国に育ってきています。当社はそこに入り込むことに成功しました。中国に限らず、アジア各国でローカル製の包装機とは一線を画して勝負していきます。

包装一筋、業界に恩返し

 ――出身は技術系。
 梅森 専攻は機械系。大学を卒業し、当社に入社したとき、周囲を見て、レベルの高さに驚きました。“機械ではとても敵わない”と、当時社内に誰もいなかった電気系にシフトしました。電気系は私だけということもあり、自分の思うままに開発を進めることができました。現在販売している機種の中には、私が設計したものもあります。

 ――技術者として、それは自負でもある。
 梅森 私は包装業界に育てられてきました。特に工業会(日本包装機械工業会、中部包装食品機械工業会)には、大変お世話になりました。“業界に恩返ししたい”と工業会が実施している包装学校をサポートしたり、様々な企画を練ったりと包装業界に積極的に関わってきました。特に補助金に関する委員には長年携わってきました。包装機には社会的責任や貢献度があり、世の中に必要だということを訴えなければならないという思いがあったからこそ、続けることができました。 (次号へ続く)