津波対応の冷凍冷蔵施設完成

 大成建設は宮城県女川町の女川魚市場買受人協同組合から受注した津波対策型冷凍冷蔵施設を設計・施工し、このほど完成させた。レベル1津波(100年に1回程度の発生回数を想定したレベルの津波)に耐えることができる。津波の圧力から建物を守るため、津波を受けた1階の外壁が外れ、津波の力を受け流すという新構造システムを採用した。

2階の床レベルを8.5mとするため長い柱を1階に並べた

 2階の床レベルを8.5mとするため長い柱を1階に並べ、1階をピロティ形式とした。1階柱の鉄骨を鉄筋コンクリートで覆い、津波対流物の衝撃にも対抗できる強固な構造を確保。地盤表土がえぐられた場合でも転倒しないよう杭を通常よりも深く打ち込むことにより、2階以上に置く冷蔵庫などの主要設備が高さ6mの津波でも浸水から免れる性能を実現した。
 施設の避難性も重視。建物内の避難ルートを日常動線と一致させ、迅速な屋外避難を確保した。被災直後の復旧活動も想定しており、復旧に欠かせない設備や物資置き場を最上階に集約。飲料水用タンク(容量6t)、電気設備室、備蓄倉庫、居室(20人〜30人用)を最上階に配置した。