再整備工事始まる、総工費350億円
東京団地冷蔵 代表取締役社長 松本 義明氏

 東京団地冷蔵(東京平和島)の再整備工事が4月から始まる。現有地での全面建て替えで、総工費350億円。まさに冷蔵倉庫業界における“平成の一大工事”。完成は2018年(平成30年)2月末の予定。

       松本社長

 ――東京団地冷蔵について。
 松本 1967年(昭和42年)設立。71年3月に冷蔵倉庫4棟(5万4400t)、74年1月に4棟(6万5300t)、76年3月に1棟(2万8140t)と、3期にわたる建設を経て、現在の規模となりました。この間、輸入冷蔵貨物の一大集積地、食品流通の重要拠点として役割を果たしてきました。

 ――貨物の形態もかなり変わってきた。
 松本 今や冷凍食品は必要不可欠の存在。その形態もニーズに応じて原料から加工製品まで多種多様化しています。輸入品も原材料から加工製品まで幅広くあり、物流サービスも様々な対応が求められています。トレーサビリティの確立や品質管理の徹底など、食の安心・安全に対する関心も非常に高まっています。

 ――東京団地冷蔵は立地条件にも恵まれている。
 松本 日本最大のスーパー中枢港湾である東京港に近く、また充実する首都圏の広域幹線道路網の要衝に立地しています。首都圏の食生活を低温物流分野で支援する一大食品物流拠点としてますます重要になります。
 しかし、1期棟竣工から44年が経過し、施設の老朽化をはじめ、耐震性や物流機能面の課題を抱えています。二酸化炭素の排出量や2020年の代替フロン冷媒生産中止といった環境保全対策の必要性も高まっています。
 そこで再整備では耐震面や環境面への対応はもちろん、様々な顧客ニーズや食の安全安心に応える物流機能を具備した施設を目指すとともに、集積施設の利を生かした物流の効率化を実現していきます。

 ――新しい規模は。
 松本 現在は9棟からなり、保管能力は計14万7840tですが、これを2棟に集約した上で17万6000tに庫腹を増やします。テナント様は14社。A棟10社、B棟4社ともに決まっています。保管能力は約3万t増えますが、2棟にまとめることで利便性や機能性が向上します。とりわけ12万9000tのA棟は我が国最大規模の冷蔵倉庫となります。

 ――建物の特徴は。
 松本 考えられる最先端の技術を採用します。免震構造の採用、環境配慮型物流センターとして自然冷媒(脱フロン)冷却設備や低炭素仕様(LED照明、パレットリフターなど)が特色。食の安心安全を確保するため、フードディフェンスなどのセキュリティーも強化します。