食品廃棄物を配合飼料原料に
アルフォ 城南島飼料化センター

 アルフォの城南島飼料化センターは都内近郊から排出される調理残さや食べ残し、売れ残りとなった食品廃棄物を受け入れ、乾燥処理により家畜用の配合飼料原料を製造している。「油温減圧式脱水乾燥法」による飼料化施設では国内最大規模。大都市圏の廃棄物の問題解決の一端を担っている。

センター外観

 コンビニエンスストアから出る売れ残った食品や、飲食店から出る調理残さの受け入れが多く、全体量の八割を占める。食品メーカーの加工場から出る食品残さ(産業廃棄物)も受け入れているが、その比率はまだ小さい。
 これは飼料安全法と関係している。例えばハムの端材などを単純に受け入れるわけにはいかないという。立ち上げ当初、ラーメンのスープを製造している大手メーカーから廃棄物処理の候補施設に挙がったが、飼料安全法との関係で断念せざるを得なかった。
 それでも、最近では大手冷食メーカー数社から出る廃棄物を受け入れ始めており、着実に実績を重ねている。

都内近郊から集まる運搬車

 早朝4時半、都内近郊から廃棄物を運搬する収集車の第1陣が到着する。午後6時まで収集車の受け入れが続き、年間ほぼ休みなく稼働している。特に午前9時から12時に車の往来がピークを迎える。
 処理方法は、廃食用油を熱媒体とする蒸気により食品廃棄物を間接加熱する。これにより食品廃棄物に含まれる約80%の水分を乾燥処理(油温減圧式脱水乾燥法)した後、異物を除去することで、養鶏・養豚用の配合飼料原料に生まれ変わる。処理能力は最大168t/日で、この乾燥法による飼料化施設としては国内最大規模。短時間で大量処理が可能となり、大都市に適した処理施設といえる。
 製造された配合飼料原料は「アルフォミール」という名前で売り出しており、栄養価が高い。畜産農家に直接販売するのではなく、商社を通じて大手配合飼料メーカーと販売契約を締結しており、安定的な販売が可能となっている。

コンビニの容器が目立つ

油温減圧式脱水乾燥装置(クッカー)

 各所から食品残さが集まる施設だが、生ゴミ特有の「臭い」が気にならないのに驚かされる。各部屋の臭気は薬液洗浄塔に吸引し、酸とアルカリによる薬液洗浄脱臭を行なっているためで、施設自身の環境保全に万全を期している。また、各機器は密閉状態にして臭気を吸引し、燃焼脱臭炉により約800℃の温度で燃焼分解処理を行なっている。
 この地域は工業専用地域のため、騒音や振動に関して規制はないが、同社では準工業地域なみの自主管理値を認定している。自ら厳しい目標を科すことで近隣地域に配慮している。

    田波センター長

 この3月で、センターが稼働してから5年になる。3年目から収益に目処が立ち、現在では安定して運営している。田波猛志センター長は「飼料の販売による利益よりも、廃棄物を処理する利益が大きいのが現状。受け入れた廃棄物に対して、飼料となるのは二割程度。一般的な飼料より安いため、売上げはどうしても低くなってしまう。今後は飼料の販路を拡大させるのが課題。食品リサイクルでできた飼料であることをより多くの人に知ってもらうよう働きかけたい」と意欲を見せている。

出来上がった配合飼料原料

集まった残さの中にはスプーンなどの
異物も混入している

薬液洗浄塔、施設の消臭を担う重要な装置