豆腐業界も導入、検品作業は目視からAIへ

 充てん包装機メーカーで、豆腐類の製造販売事業も手がける四国化工機(徳島県北島町、植田滋社長)は豆腐の検品業務をAIで自動化するAIラインピッキングシステムを今年6月から本格稼働している。AIが豆腐の割れや欠けを検出するのは、業界初となる。

 四国化工機はこれまでも画像検査装置の導入を試みたが、良品・不良品を判定する際の項目をすべてルール化する必要があり、豆腐の割れ目やくぼみ、欠けの大きさ、数、深さなどを細かく設定し、判別まで行うのは困難だったという。そのため目視検査に頼らざるを得なかった。

 今回導入したAIラインピッキングシステムの「STI-ALPS(Shikokukakoki Tofu Inspection – AI Line Picking System)」は日本アイ・ビー・エムが開発した。大量の画像データをAIに学習させて良品・不良品の特徴をモデル化した。複数のカメラを活用することで上面や側面、底面に加え、分割パックの内側の検査も可能にした。

 本格稼働して間もないが、自動化で作業速度や精度の向上、品質安定、コスト削減など様々な効果が期待できる。実際、従来の目視検査では1ライン3名が必要だったが、これを完全に無人化した。

 さらに、ロボット装置や無人搬送のフォークリフトと連動させることで、不良品を排除して良品を箱詰めし、冷蔵倉庫へ移動する作業の省人化を進めている。

コロナ禍で無菌充てん豆腐の需要が拡大

 四国化工機は無菌充てん豆腐の製造技術を持ち、常温で120日間保存可能な紙パックの「ずっとおいしい豆腐」を全国の食品スーパーなどで発売している。

 このロングライフを可能にする無菌充てん豆腐の需要が巣ごもり消費の拡大で伸びており、同社の受注量も増えているという。そこで同社は増産体制を整えるため、阿南食品工場(徳島県阿南市)に新棟を建設し、今回のAIラインピッキングシステムを構築した。

         常温で120日間保存可能な「ずっとおいしい豆腐」