クレハはハイバリアフィルム「ベセーラ」事業を、５月をめどに凸版印刷に譲渡する。これにより凸版は製品ラインナップを拡充し、バリアフィルム事業を強化させるとともに、独自の透明フィルム「ＧＬフィルム」と「ベセーラ」の技術を組み合せて、新たなバリアフィルムの開発に乗り出す。
　バリアフィルムやアルミ箔など酸素や湿気を防ぐ包材や部材の市場規模は約３兆円。そのうち透明ハイバリアフィルムを使用した包材・部材は約4000億円という（凸版印刷調べ）。
　また近年は、北米や欧州、東南アジアでライスやスープなどレンジ加熱用レトルト食品が普及したことや、産業用途の拡大によるアルミ箔の需要がひっ迫したため、透明ハイバリアフィルムを使用した包材・部材の需要が大幅に拡大している。
　さらに介護食や輸液など医療医薬品の包装用途、太陽電池バックシートをはじめとした産業資材などへ用途が広がっている。
　今後、透明ハイバリアフィルムを使用した包材・部材は、世界的な需要拡大による市場の成長が期待されており、2015年度には約6000億円に拡大する見込みという。
　「ベセーラ」はウェットコーティングの材料・製造方法を追求することで、性能向上を図ってきたラミネート用ハイバリアフィルム。ウェットコーティングに関するノウハウ・知見が集約された製品として、バリア性、耐熱性、透明性、省資源に加え、屈曲性に強いという独自の特長を持つ。
　拡大する透明バリアフィルム市場に対し、「ＧＬフィルム」と「ベセーラ」の技術を組み合わせて、よりバリア性・長期信頼性に優れた製品を開発する考え。日本だけでなく、北米・欧州・東南アジアなどのグローバル市場に向けて販売を強化し、透明ハイバリアフィルム事業で2015年には売上げ500億円を目指す。