「持続可能な物流」シリーズ
  東京2020まで1年、物流会社に聞く渋滞対策

      安喰専務(左)と矢田専務

 東京五輪・パラリンピックの開催が1年後に迫った。大会期間中は会場周辺で交通規制が行われ、物流への影響が懸念される。大会組織委員会や東京都、国は混乱を避けるため荷主や物流事業者に協力を呼びかけており、7月24日と26日には首都高の入口を一部閉鎖するなど本番を想定した交通規制テストを実施した。企業側は今後どのように対応を進めるのか。C&Fロジホールディングス傘下のヒューテックノオリンの安喰(あぐい)徹専務と名糖運輸の矢田市郎専務に話を聞いた。

 ――6月のG20大阪サミットは交通規制を実施したが、影響はあった?
 安喰 交通規制は4日間と短期間だったが、木金曜日の対応が懸案だった。規制が厳しい箇所は、取引先の理解を得ながら出荷を停止したり、配送日をずらすなどして限定的な対応で済んだ。

 矢田 事前に発注量や物量が増えることを想定して、車両を多めに確保したり、庫内の人員を厚めにして早めに出荷できる体制はとっていたが、期間中は一般道も交通量が少なく閑散としていた。スムーズに終えることができ、遅配やクレームは一切なかった。

 ――東京2020の影響はどうみている?
 安喰 都内の交通規制の概要がようやくわかり始めたところで、具体的な対策については今後詰めていく。当社の場合、主力の配送先は埼玉、神奈川など都心から離れた場所に物流拠点を持つケースが多い。ただし、医療福祉施設については交通規制の網がかかることが考えられるため、協議が必要になってくると思う。
 輸入冷凍食品が入ってくる晴海ふ頭(東京都中央区)は交通規制の中心になる。コンテナヤードの搬出入にどう影響があるのか、情報を取集して対応を考えたい。 

 ――名糖運輸の場合はどうか。
 矢田 CVSや量販店の物流センターに毎日届けている。センターは(競技施設が集中する)東京湾岸エリアに約20カ所ある。さらに、センターからCVSへの店舗配送も請け負っているが、五輪期間中は来店客が増え、物量が増えることが予想される。ある取引先からは「コストがかかってもいい、応援車両とドライバーを確保しておいてほしい」と言われている。
 今回の交通規制テストでは臨機応変に対応したが、交通渋滞の影響を今後精査して、必要なら迂回ルートの検討もあり得る。

  ――冷凍倉庫については?
 安喰 庫腹は非常にタイトで需給はひっ迫している。そのような中で外国人観光客が大勢来日し、冷凍食品の消費量や輸入量が増えた時のキャパシティが心配だ。五輪が近づいて具体的な状況が見えてきたら、場合によっては翌々日納品をお願いするかもしれない。