㈱ローズコーポレーションは茨城に本部を置く食品スーパー、㈱カスミのグループ会社で、カスミの惣菜売場に商品を供給している。自社工場では煮物35SKU、サラダ30SKU、米飯75SKU、加工調理品(キット惣菜)9SKU、チキン3SKUの計152SKUを製造。3年前まで不安定だった収益力は、高塚進社長が就任後、機械化による省人化、生産品目の絞り込み、米飯ラインの増強による100%内製化などで生産性を高め、07年2月期から増収増益を重ねている。
カスミの店頭に並ぶサラダ、煮物はほぼ100%工場生産によるアウトパック。店内で加工するよりも、徹底管理している工場の方が衛生面や均一性に優れているためだ。生野菜系サラダは手詰めになるが、人気商品のポテトサラダとマカロニサラダはトレーに自動充てんできるため、高い生産能力を誇る。サラダ部門で最も売れている、マカロニサラダとポテトサラダをセットにした「サラダ2点盛」は年間約93万点もの販売実績がある。
共同開発した「アクアクッカー」
ポテトサラダの人気を支えている要因の一つに、食材に微細な水の粒子を当てて加熱する調理機器「アクアクッカー」が挙げられる。じゃがいもをアクアクッカーで加工すると、ホクホク感が出て品質が向上し、ブロッコリーなどの野菜に使えば、約15秒で殺菌処理することもできるという。
アクアクッカーは生物系特定産業技術研究支援センター(略称=生研センター)の異分野融合研究支援事業として、独立行政法人農研機構、食品総合研究所、女子栄養大学、タイヨー製作所、(有)梅田事務所と共同開発した。特許も取得している。
ローズコーポレーションでは最大200kgのじゃがいもを65分で蒸し上げ、冷却した後、マヨネーズなどの調味料と攪拌させ、ポテトサラダとして出荷。翌日、カスミの店頭に並ぶ。
自動充てんしたポテトサラダを手でならす
煮物の生産ラインは朝が早く、午前4時から仕込みが始まる。8時から盛り付けに入り、正午すぎには1日の作業を終える。大きな鍋で調理する際、3カ所に温度計を差し込み、計測データは無線を使ってコンピュータに自動的に蓄積する仕組みになっている。これは品目ごとに決められた品温を超えたかどうか管理するためだが、仮に規定の温度を下回っていた商品があれば、出荷前にエラー表示され、ロット単位で出荷を停止する。「実際に出荷停止になることはまったくないが、安全確保のために」と高塚社長。品質管理は年々、高いレベルが求められている現実を目の当たりにした。
(次号に続く)
大きな鍋が並ぶ煮物製造ライン