FOOMA JAPAN2015(国際食品工業展)の開催が目前に迫った。安全・安心はもちろん、少しでも精度・速度を高めようと、機械メーカーの思いが詰まっている。日本食品機械工業会の理事で、展示会実行委員長を務める櫻澤誠冨士製作所社長に、開催の意気込みを聞いた。
櫻澤委員長、FOOMA2015のポスターとともに
――今年のテーマは“発見!「食」はいつも進化系”。ここに込めた思いは。
櫻澤 食品そのものはもちろん、その食品を製造する過程でも安全・安心をベースに、効率化や自動化など常に変化しています。私たち食品機械メーカーも目標を掲げ、技術を進化させなければならないと日々取り組んでいます。FOOMAでは常に進化中である最前線の製品・技術・サービスを来場される方々に発見していただきたいという思いを込め、今回のテーマとなりました。
――食品機械メーカーが掲げる目標とは。
櫻澤 生産現場ではお客様が直面している問題や改善点はまだまだたくさんあります。だからと言って、私たち機械メーカーがその問題に対して、すぐに追いつき、常にお答えできているかというと、なかなかそうもいきません。お客様の要望を満たしていくとともに、お客様自身が気づいていない改善点を我々が先に気づき、将来を見据えて提案する。それが直近の目標であり、その繰り返しが長期的な目標にもなります。
――ユーザーが抱える問題は。
櫻澤 まずは安全対策。国の指導が厳しくなり、現場オペレーターの安全確保が今まで以上に求められています。また、衛生対策や異物混入対策もより厳しくなっています。
――異物混入問題はこの1年で特に関心を集めた。
櫻澤 それをゼロにすることは正直難しい。人が媒介するとそれだけ異物が混入するリスクが増します。そのリスクを回避するため、人を介さずにどれだけ生産活動ができるか。機械による自動化が、そのリスク軽減に貢献できることをご提案できればと願っています。また、近年食品工場の人手不足もお客様の頭を悩ますところ。自動化はその課題を解決する手段となります。私たち機械メーカーも、今まで自動化できなかった工程をいかにできるようにするか――常に技術を研磨していかなければなりません。
――食品機械の進化は。
櫻澤 ここ数年、食品工場でのロボットの活躍が目覚ましい。FOOMAでも専業メーカーの出展が年々増えています。今年は大手ロボ専業メーカー2社が初出展します。これらのメーカーは他社のブースでラインの一部の事例としてFOOMAに参加することはありましたが、今回は自社ブースで展開します。それだけ食品工場への販路拡大に期待を寄せていることなのでしょう。
近年、ロボット専業メーカーの出展が増え続けているのは、1社が先行して出展し、拡販に成功したことが考えられます。会場では、ロボットにあえて水をかけて紹介する企業もあるほど。水場の中でも活躍できるロボット、水洗いできるロボットというのも食品工場ならでは。他の産業では必要としなかった機能を前面に押し出した提案が、来場者の心をつかんでいるのかもしれません。
――FOOMAという展示会そのものの進化は。
櫻澤 昨年にも増して、出展社は日頃の成果をいかんなく発揮されることでしょう。ユーザーの皆さんもその高度な技術(=進化)に是非とも期待していただければと思います。
展示会の運営でも、来場された方がより情報を収集しやすいように工夫しています。目的の機械の見つけやすさは昨年以上を心がけています。検索には運営スタッフが常駐していますが、そのメンバーも工業会の会員企業で構成しているため、機械メーカーならではの生きた情報とともにご案内できることでしょう。
また、検索システム自体も相当バージョンアップしています。例えば、“卵”というキーワードを入力すると、卵専用の焼成機や割卵機などが網羅され、それを扱う機械メーカーを検索することができます。“ウチは大根を扱っているが、これを何かに加工できないか――”というお客様がいらしても、“大根”と入力するだけで、大根を洗う機械、皮を剥く機械など、その関連機械がすぐに検索できます。近年は農協や生産者もFOOMAに来場されますが、そういった動きにも応じられるようにしています。
――櫻澤理事は今回で2回目の実行委員長。その意気込みを。
櫻澤 今までよりも、よりよい展示会を――。こう願うばかりです。実行委員会は開催に向けてピークを迎えていますが、会員企業や出展社の社員の方々にもFOOMAの成功に向け、ご協力いただいております。自社の出展だけでなく、併催行事にも参加していただきます。関係者全員で作り上げる展示会。食品メーカーの方たちが抱える問題に応える場となりますので、是非とも会場にお越しいただければと思います。