人気の立ち飲み天ぷら店
新業態をエキナカに
豊洲市場直送の海鮮天と旬の野菜天
東京の日比谷ミッドタウンにある「喜久や」が女性客で連日にぎわいを見せている。ここは立ち飲みスタイルの天ぷら店。豊洲市場直送の新鮮な魚介類や旬の野菜の天ぷらが売りもの。ポルトガル産のスパークリングワインも楽しむことができる。店内はおしゃれなバーの雰囲気で油の匂いも気にならない。従来の立ち飲み屋、天ぷら店のイメージからはほど遠い。
店舗を運営するのは�螳豐�一会（東京都港区、本間儀彦社長）。“Ｆ２層”と呼ばれるアラフォー世代の働く女性をターゲットに１号店を東京恵比寿に３年前オープンした。これまでの立ち飲み屋よりクオリティを高くし、板前が揚げる天ぷら店より価格を抑えたコンセプトが当たり、現在は恵比寿や日比谷のほか、麻布十番、吉祥寺、大阪梅田などに７店舗展開する。
同社は新業態「ｋｉｋｕ」を東急線の自由が丘駅構内（東京都目黒区）にこのほど開店した。目の前で天ぷらを揚げる板前スタイルはそのままに、セルフサービスとキャッシュオンデリバリーを導入して人件費を下げ、「喜久やよりも５％ほどリーズナブルな価格で提供する」（本間社長）。
ここでもターゲットは働くＦ２層。本間社長によれば、仕事帰りのわずかな時間をカフェやスープ店で過ごす女性は多いという。家に帰れば食事づくりや洗濯などの現実が待っている。本間社長は「忙しい女性がワインと天ぷらで気持ちをリセットしてからさっと帰れるよう駅の中にこだわった」と語る。
フライヤーは電波振動で食材の水分をコントロー
ルし、余分な油を50％カットする
イタリア製のワインディスペンサー
渋谷の新ランドマークに出店決定
本間社長
「ｋｉｋｕ」は店内オペレーションを簡素化し、常駐スタッフを２名に抑えることでリーズナブルな価格設定を実現したが、食材は「喜久や」同様、豊洲から仕入れる。天ぷらを揚げるフライヤーも同じエバートロン社製。食材の油の吸収量を50％に抑える効果があるという。さらに新店舗ではイタリアenomatic（エノマティック）社のワインディスペンサーを導入した。ワインの酸化を防ぐだけでなく、正確な量をワンタッチでセルフ提供できる。本間社長は「誰もがこのスタイリッシュな飲み方を試してみたくなるはず」と胸を張る。
立ち飲み天ぷらのビジネスモデルは電鉄系なども注目しており、同社は両業態の出店を加速する。東急電鉄やＪＲ東日本などが再開発を進める東京渋谷では、今年11月に開業する地上47階建ての渋谷スクランブルスクエアに「喜久や」が入居する。建て替えが進む渋谷パルコ、小田急沿線の下北沢駅構内にも10月に出店する。
「ｋｉｋｕ」は東急沿線で出店を拡大するほか、来年以降はＪＲ東京駅構内と羽田空港国際線ターミナルに進出する。ＪＲ西日本やＪＲ九州エリアにも出店計画がある。
本間社長は「今後は交通系ＩＣカードをメインにキャッシュレス化を進める」と語り、電鉄企業と相乗効果を高める考えを示す。
夕食前に軽食を楽しむイタリアの慣習「アペリ
ティーボ」にならい、午後のアイドルタイムは
軽食を無料で提供する
新店舗では弁当なども提供。自由が丘はカルチャ
ースクール帰りの主婦が多く見られるため、ＤＥ
ＬＩ業態を導入した