日本政策金融公庫が行なった09年下半期の食品産業動向調査(対象6823社、回答2446社)で、食品産業(製造業、卸売業、小売業、飲食店)からの農業参入が過去の調査時に比べ、一段と拡大していることが分かった。
農業への参入の理由は「原材料の安定的な確保」が40.3%、「高付加価値化・差別化」が37.7%と多く、経営的にメリットが大きいと判断しているのが特徴といえるが、「調達コストの低減」(15.5%)や「トレーサビリティーの確保」(27.1%)に比重を置いているあたりは、食の安心・安全を強く意識していることもうかがえる。
07年7月と前回の09年7月に行った過去2回の調査では、農業に「参入している」と回答した企業の割合がそれぞれ7.7%、8.6%だったが、今回調査でこの参入割合が10.5%と拡大した。また、「検討・計画している」「関心はある」と回答した企業の割合は、それぞれ29.8%(07年7月)、38.1%(09年7月)、33.4%(今回の10年1月)と、参入予備軍ともいえる企業が多数あることが分かった。
一方で「検討を断念した、または撤退した」との回答も1.7%あった。