天丼てんや、松茸も天丼に、オートフライヤーで低価格化

 ロイヤルホールディングスの完全子会社、テンコーポレーションは、天丼てんや121店舗で「松茸天丼」(単品価格780円)と「親子鶏天丼」(580円)の2メニューを9月8日〜10月19日の期間限定で、“秋のおすすめメニュー”として発売する。オートフライヤーの活用で、松茸さえも大衆価格の天丼に仕上げているのがポイント。

低価格化を可能にしたオートフライヤー

 「天丼てんや」を運営するテンコーポレーションは、日本マクドナルドの設立にも関わった岩下善夫氏が1989年に創業し、東京・八重洲に1号店を開店した。岩下氏は「マクドナルドの技術を生かし、大衆価格で天ぷらを提供する業態を開発できないか」と模索。独自にオートフライヤーを開発した。天ぷらは職人が揚げていたが、機械化に成功しチェーン展開が可能になった。現在、中西製作所が機械生産を手掛けている。
 オートフライヤーはベルトコンベア式。天ぷら粉をまぶした食材をベルトに載せ、180℃に設定した油の中を1分30秒間、ベルト移動しながら揚げる。どういう食材であれ、1分30秒間で均等に仕上がるサイズにしているのがノウハウ。カット工場からロイヤルホールディングスの配送便で「天丼てんや」各店に食材をデイリー配送している。
 同社マーケティング・商品部の村松益次部長、高橋一志商品開発部長によると、魚介類・肉類は冷凍で、野菜はフレッシュが多く、大半が国産。れんこん・いんげんは冷凍野菜。旬の食材でも、オートフライヤーに合うサイズで店舗に届けることで、柔軟にメニュー化している。店内で包丁を使うことは、ほとんどないという。
 1時間に1300ピースを揚げることが可能。1丼に5〜6ピースを載せており、1時間200食を提供できる。これは職人3〜4人分の仕事量に当たる。その結果、最も込み合う12月もスムーズに注文に対応できるという。省人化とチェーン展開による購買力の向上の結果、ワンコイン(500円)で天丼を提供できるようになった。
 喫食者は店内七割、テイクアウト三割に分かれ、テイクアウト比率が高め。その結果、駅前のような狭い立地で店内座席数が少なくても出店が可能になった。