脱炭素化の切り札、合成メタン製造装置を販売

 IHIは二酸化炭素(CO2)と水素(H2)を反応させて1時間あたり12.5N㎥(ノルマルリューベ)の「合成メタン」を製造する小型メタネーション装置の販売を開始した。設計の標準化によって導入コストを抑え、短納期での納入を可能にした。工場や事業所で排出されるCO2を回収し、合成メタンとして再利用するカーボンリサイクルの仕組みに注目が集まっており、カーボンニュートラル化(脱炭素化)に向けて試験運用に取り組みたいという企業に提供する。

 メタネーションはCO2とH2を触媒で反応させて合成メタンを製造するカーボンリサイクル技術。事業所で排出されるCO2から製造し、天然ガスの代替燃料として使用したり、既存の都市ガスのインフラを活用して他の事業所や一般家庭に供給したりできる。

 IHIが販売する小型メタネーション装置、工場や研究所などでの実証実験用に開発した

 カーボンニュートラルの実現に向けたキーテクノロジーの1つとして注目を集めており、政府もエネルギー基本計画で2030年、50年までの導入目標を掲げている。昨年にはメタネーション推進官民協議会を立ち上げた。

 IHIが製品化した今回の装置は、カーボンニュートラルの取り組みを進めている工場や研究所、事業所などから多くの要望を受けて開発したもので、短納期での納入に加え、本体をコンパクト化して短期間で簡単に据え付けられるようにもした。複数導入すれば合成メタンの製造量を増やすことができる。

 IHIはCO2回収などの関連技術を多数持っており、メタネーションと組み合わせた効率的なソリューションを提供していくとしている。