【年頭所感】
先進技術を活用し食品機械の高度化、自動化に取り組む
日本食品機械工業会 海内栄一会長

    海内会長

 我が国食品機械の昨年の販売額は、機種によって異なるものの、全体では前年をわずかに上回る見込みとなっているが、今後の社会情勢によっては予断を許さない状況であり、企業経営に関しても多くの会員が厳しい見解を持っている。

 食品産業全体としては、食品衛生法改正により食の安全性の確保、食品ロスや包装資材等の環境問題、消費者ニーズの多様化高度化への対応、深刻化する農業分野や製造加工分野での人手不足、原材料・物流費の高騰など様々な課題を抱えている。新型コロナウイルス感染症の影響により、食生活の変化、デジタル化の急速な進展等ライフスタイルは大きく変化し、外食産業の縮小化が影響し余剰人員の発生や高級食材の余剰化などを引き起こし、新たな対応策を求められている。

 感染症リスクの低減化を目標とした自動化・省人化は食品製造現場の喫緊の課題となっている。食品機械業界としては食品製造現場のニーズに対応し、衛生性を完備したロボット技術、AI、IoT技術等先進技術を活用した食品機械の高度化、自動化に取り組んでいるところである。昨年、当工業会ではユーザー業界・関係諸官庁等の協力を得てIoT推進委員会を立ち上げ、食品製造ラインにおけるIoT共通基盤の構築に向けた検討を開始したが、これからもユーザー業界の課題解決に貢献できるように積極的に事業を推進していく。

 また、当工業会では、食品機械の安全・衛生化の推進、国際化への対応、人材育成などに積極的に取り組み、会員の経営力強化、事業の発展に向けて各種事業に取り組み、ユーザー業界の期待に応える。

 昨年は新型コロナウイルス感染症でFOOMA JAPAN2020は中止せざるを得なかった。今年は6月1日から4日間「発想力が食の未来を変えていく。」をテーマに、「Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)」で「FOOMA JAPAN2021」を開催する。ウィズコロナ、アフターコロナの社会に対応した新たな発想力による食の技術の提案を通じて、食品産業の発展に寄与していく。

 当工業会は一丸となって、引き続き食品機械工業会の発展を通じて、食品製造業界の生産性向上、国民の食生活の豊かさに貢献する。