現場改善へあくなき探究
三島食品 広島工場（２）
三島食品の本社敷地内にある広島工場は同社の基幹工場。1966年に本社工場を増築、旧本社から生産設備を全面移転、一元化をしたのが原型。その後、逐次内容を改革改善して今日の近代的な工場に出来上がった。
敷地面積は8600�屐�建物面積は3908�屐�もちろん敷地内には楠の木が植樹されている。
現場改善を見える化
ちなみに広島工場は98年対米輸出のＨＡＣＣＰ認証（品質管理）を取得、01年には広島工場と本社でＩＳＯ14001認証（環境管理）を取得している。
生産体制としては、66年の広島工場設立に続き、80年関東工場（埼玉県坂戸市）、90年中国・大連工場と発足させ、現在３工場体制となっている。広島工場はドライ商品、関東工場と大連工場はレトルト商品を中心に生産している。
関東、大連工場についても広島工場と相前後してＨＡＣＣＰ、ＩＳＯの認証を取得している。
広島工場（井垣伸夫工場長）は同社の基幹工場の名に恥じない工場として、原料にこだわり、素材のもつ色合い・風味を損なうことなく調味加工するのが誇り。ふりかけをメインにして調味料、料理用素材などを生産する。アイテム数は約400にのぼり、日産20ｔを生産。とくに「ゆかり」は２交代制で16時間稼働の専用ラインで生産している。
井垣工場長はあくなき探究心の持ち主である。品質・生産性向上のために徹底して改善活動を展開、その改善目標や経過報告が事細かに工場内の壁面に掲示されている。
切磋琢磨する場として地元の食品製造業８社と連帯している。めざすべき生産管理の理想探究を目的に結成した「ＰＣ21クラブ」がそれ。同社が中心的な存在となって、年に２回を基本に会合を開催し、改善事例の発表や互いの工場視察、討論会などの活動を行なう。
三島豊社長（左）と井垣伸夫工場長
主力のふりかけ「ゆかり」の生産ラインは次の通り。
トラックで赤しそ原料が入荷すると、まずは重量・品質・異物チェック。さらに目視で異物除去、水流式異物除去機も通す。
赤しそを適当な大きさに切断、再度水流式多段比重選別機により小石・砂を沈殿除去。細断工程ではフードカッターで大きさ３〜５ｍｍ大に切断。圧搾式脱水装置で余分な水分を除去。配合通りに調味味付けしたのち、熱風式乾燥機で水分５％以下になるまで乾燥させる。
網通しから金属検査、ふるいを通し、多孔式選別機で毛髪などの長い異物を除去する。さらに目視選別を経て包装工程となる。
再度金属探知機を通して金属異物の除去、箱詰め・重量チェックしたのち配送センターへ搬送される。
一連の工程をみれば明らかなように、選別・異物除去が繰り返し行なわれる。さほど、しその原料には虫や異物の混入が多い。なかでも輸入原料に異物が多いのはいずこの工場も同様。日本レベルの品質基準を満たすためには、念入りな選別や異物除去が不可欠なのである。