電子計測器・食品検査機メーカー大手のアンリツ(神奈川県厚木市、濱田宏一社長)は産業用DXソリューション「AccelVision」をこのほど販売開始した。食品製造の現場データや映像をリアルタイムで一元的に可視化し、製造現場と管理者の速やかな双方向コミュニケーションを可能にする。トラブルなどが発生した際の現場の正確な現状把握と迅速で的確な対応指示につなげることができる。
製造現場では生産設備からデータを収集して最適化を図っているが、工程ごとの部分最適にとどまっているケースが多く、工程間で発生する数量や品質などのギャップ(渋滞・無駄)は熟練者の経験に頼って解消している。カメラ映像も常時録画しているが、生産後のセキュリティや品質面の解析用途にとどまり、リアルタイムに活用されていない。
産業用DXソリューション「AccelVision」の概要イメージ
アンリツが提供する「AccelVision」は、各工程の製造設備などと連携して情報を受信し、カメラ映像の切り替えなどを制御する装置や、様々な情報を一元表示してリアルタイムに提供する情報閲覧装置などを活用する。
トラブルが発生すると、平常時の映像表示画面から異常発生カ所の映像やデータ情報画面に自動で切り換えて、テロップ表示で管理者に異常状態を通知する。同時に製造現場では外部制御ツールをインストールしたタブレットPCを通じて、管理者とコミュニケーションを行うことができる。
こうした手法によってトラブルの把握や解消に向けた迅速な意思決定と復旧作業の指示ができ、効率的な工場運営が可能になる。コミュニケーションの円滑化で管理作業の省力化や現場間の移動ロス削減も期待できる。
アンリツは、これまでの「見える化」から一歩進んで「分析」や「改善」へとDXの高度化を図るユーザーに対してソリューション提供を強化する考えで、センサやIoT機器、カメラ、VMS(Video Management System)を製造するパートナーと協業し、ユーザーの課題ごとに最適なソリューションを提供していく。
「AccelVision」は異常発生カ所の映像やデータ情報画面に自動で切り換えて、テロップ表
示で管理者に異常状態を通知する