増設休みなし、“相模屋”の主力工場
相模屋食料(1)

 相模屋食料(群馬県前橋市鳥取町)の設備投資が続いている。主力の第三工場が稼働した2005年の売上高は41億円だったが、2012年は142億円。10年で5倍を超える売上高に成長した。その成長も生産の拡大があってこそ。「工場は24時間稼働させない。ひっ迫すればラインを増設する」と鳥越淳司社長は語る。2013年も豆腐と厚揚げラインを増強したばかりだ。

 次々と流れてくる豆腐を多関節のアーム型ロボットがパックし、製品化していく。第三工場は同社の豆腐づくりのノウハウをすべて注ぎ込み、最先端の技術や設備、独自の製法を導入して誕生した。従来の豆腐づくりの概念を革新的に変えた拠点として存在感を示している。大豆浸漬から包装まで、一貫した製造ラインには13台のロボットを導入し、1日100万丁を超える豆腐を製造する。同社の生産体制をけん引する基幹工場でもある。「ザクとうふ」や「鍋用!ズゴックとうふ」など話題のガンダムシリーズの豆腐もこの第三工場で生産している。

相模屋食料第三工場(群馬県前橋市鳥取町)の外観

 カット豆腐の生産は、水に漬けた大豆を粉砕し、それを煮沸する。その後、豆乳とおからに分離して、凝固させ、豆腐の形に成型。冷却してパッケージングという流れを辿る。この工程の大半を自動化しているが、豆腐をパックに入れる工程からは人と機械によるチェックを入念に行っている。
 カットした豆腐は、容器をセットしやすいように、一定間隔をあけた状態に再配置される。この工程も自動化している。カップを取り付けるアーム型ロボットは1ラインに3基設置。マルチロックオンシステムを持ち、流れてくる豆腐の位置をサーチして連続操作で行う。
 ここで注目したいのが、ロボットは最後まで豆腐を容器にセッティングしないところ。豆腐に対して“斜めにそえる”ような形でセットし、その後は止まっている。高速で繰り出すアームロボット。“彼”が最後まで容器にセットすれば、豆腐が潰れてしまうためだ。
 アームロボットが活躍する第三工場は、一見産業用製品の工場と見間違えるところだが、この工夫と配慮こそがやはり食品工場のラインであることを実感できる。

凝固ライン

味へのこだわりと、大量の商品の安定供給を実現するために建てた第三工場。アームロボットは味へのこだわりを追求する過程で導入された。しかし、ロボットメーカーに導入を打診しても、申し出ても、「豆腐メーカーが使うわけがない」と始めはなかなか信じてもらえなかったという。
10年で5倍を超える売上高を更新し、豆腐・厚揚げのみの生産で100億円を超えるメーカーへと成長した同社を“前人未到”と表現する人たちがいる。生産現場でも豆腐とアームロボットを組み合わせているその姿は、まさに前人未到を象徴する。(次号へ続く)

容器をセットしやすいよう、一定間隔をあけて流れている

3基あるアームロボットが次から次へと容器をセッティング

完全にではなく、斜めに添えているのがポイント

最後に強すぎない力を加え容器を豆腐に当てる。その間動きは止まらず、連続