プロロジス、モダガム会長来日会見
物流施設の雇用確保に新たな取り組み
モダガム会長（右）と山田社長
プロロジス（本社米国サンフランシスコ）のハミードＲ.モダガム会長兼ＣＥＯはこのほど来日し、日本法人の山田御酒社長と都内で10月31日会見した。物流施設の海外市場の動向や人材確保をサポートする新たな取り組みについて説明した。
モダガム会長は世界市場は好調を維持しているとして、欧米とも空室率が４〜５％で安定推移していることを紹介し、特に米国については「ここまで需給が引き締まったマーケット環境は初めてだ」と語った。アジア市場は日本と中国で需要が拡大し、中国で空き室率の上昇が若干見られるものの、ＥＣマーケットの急拡大や内需の底堅さを挙げて問題視しない考えを示した。米中貿易摩擦の影響もリスク要因に含まないとした。
一方で世界的な傾向として人手不足の問題が各地で顕在化していることを強調した。「カスタマーに最大の問題は何かと聞くと、全員が雇用、雇用、雇用と答える」（モダガム会長）。人材確保が難しく、１人辞めると再雇用するのに50万円以上の費用がかかると指摘する。
そこで人材確保と育成サポートを目的としたワークショップ活動を昨年開始した。コミュニティ・ワークフォース・イニシアチブ（ＣＷＩ）を立ち上げ、ロサンゼルスやシカゴ、マイアミの高校生を対象にジョブスキルを磨く体験型講座や就業トレーニング、貿易・物流ラボを提供している。地域の雇用機会の拡大とカスタマーへの優秀な人材を供給するねらいがある。
モダガム会長は「我々は重要な役割を担っている。この活動を世界に広げ、各地で雇用創出に貢献したい」と語った。
オイシックスと契約、冷蔵倉庫を開発
プロロジスは食品宅配事業のオイシックス・ラ・大地（東京都品川区、高島宏平社長）と賃貸借契約を結び、オーダーメイド（ＢＴＳ型）の冷蔵倉庫「プロロジスパーク海老名２」を神奈川県海老名市に建設する。来年４月着工。竣工は翌年８月を予定している。
地上４階建て。延床面積約３万8000�屐Ａ幹曚�10℃帯の冷蔵倉庫として開発し、一部にドライ倉庫を設ける。オイシックスは全国の契約農家約4000軒から入荷した野菜や生鮮食品をこの冷蔵倉庫に集約し、地域別の出荷準備の拠点とする。
山田社長は「通常はドライ倉庫をスケルトン状態で引き渡し、入居企業が冷蔵設備を設置するが、今回は一歩踏み込んで冷蔵設備も当社が担当した」と語り、新しい試みであることを強調した。当初から冷蔵倉庫として開発することで企業側のコストを抑えることができる。契約終了後の現状回復費用も不要になる。
プロロジスは冷凍冷蔵倉庫としての物流施設の開発件数（マルチテナント型・ＢＴＳ型含む）としては国内最多の実績を持つ。仙台市では４温度帯の食品物流施設を手がけ、神戸市では医薬品の保管倉庫を開発している。
山田社長は「ＢＴＳ型では設計に１年かけることもある。コストを下げながら、いかに機能を上げるかが重要。設計部門やコンストラクション部門などエンジニアリング機能を駆使し、お客さまと一緒につくりあげることをセールスポイントにしている。おかげで現在も各企業から様々な要望をいただいている」と語った。
「プロロジスパーク海老名２」の完成イメージ