タイで業務用プレミックス製品を生産・販売する日清製粉グループの事業会社、タイ日清テクノミック(サムットプラカーン県、坂巻柔社長)は、R&Dセンター(バンコク)の人員を昨年より増やしている。開発案件が増えているため、開発と営業の人員充実を図っているという。
坂巻社長
――4月に着任したばかり。意気込みと、特に重点化していることを伺いたい。
坂巻 他社にできない技術、付加価値の高い製品を開発し、国内外に提案していきたいですね。注力点としては、工場のコストダウンを強く意識して取り組んでいます。タイでは数年前に最低賃金が上がりました。恐らく今後も生活水準が上がるにつれ、最低賃金がさらに上昇するはず。為替変動もあります。そのため生産コストをどんどん下げていかないとタイの工場の優位性が薄れてしまう。コストダウンのためにも、工場をより一層深く理解できるよう時間を割いています。
――従業員数は。
坂巻 工場とR&Dセンターを合わせて約300名が勤務しています。私以下、各セクション数名の日本人を除き、タイ人スタッフです。タイ人スタッフの比率がさらに高まる見通しです。
――それはなぜ。
坂巻 生産を含めて現地化を進めています。タイ人同士で取り組むと効率がより良いはず。当社はタイ人への技術教育などの仕組みが確立されていると自負しています。今後も出来る限り現地化を進めていきたいと考えています。かつてはすべての案件を日本人同士で検討し、その結果をタイ人に伝えていました。今ではタイ人同士で最初から検討する権限を与えています。
――その効果は。
坂巻 開発のスピードが早くなりました。タイ人の発想で実現した日本向け、タイ・アセアン向けの商品も出ています。日本人・タイ人という区別ではなく、ポジションに最適の人材に担当させます。我々は日系企業のため最初は日本人が多かったわけですが、徐々に現地化するのは自然な流れだと捉えています。
――日本人の好む味をタイ人に伝えるのは難しそうだが。
坂巻 タイ人も訓練を積み、日本人の好む味や食感などを理解しています。例えば竜田揚げはポテトスターチで揚げており、白い粉が吹き出たような感じになります。そうした違いも教育しており、日本人の好みに精通しています。
――タイやアセアン向けの動きで変化は。
坂巻 ベーカリーミックスの引き合いが多く、伸び率も高い。今期はデモやクーデター等の影響を一時受けたものの、現在は順調です。ベーカリーミックスの大きな伸びは今後も期待できます。タイやインドネシア、フィリピンなどではベーカリーストアやドーナツストアが多く、さらに増えており、ベトナムやその他地域も今後増えていくはず。アセアン地域は総じてベーカリーやドーナツが好きな国民性があるようで、まだまだ伸びそうです。
(さかまき・やわら)今年4月から現職。1967年4月生まれ、47歳。千葉大大学院卒。