食品搬送に最適なロボハンド、欧州基準の衛生性を獲得

 真空機器専門メーカーのシュマルツ(横浜市)は人間の手を模して設計したロボットハンド「フィンガーグリッパーOFG」シリーズを発売した。4本のシリコーンゴム製のフィンガーを内部エアの圧力調整によって開閉し、人間がモノをつかむ際の動きに似た繊細なハンドリングを実現した。食品の安全・衛生に関する欧米の厳しい要件を満たしており、食品に直接触れる搬送工程で活躍する。

 最大の特長は包装されていない食品を搬送できること。国際規格のIP68(防水・防じん)クラスの防水性能を備え、ハンドを分解せずに丸洗いできるほか、フィンガー部分は米国FDA(食品医薬品局)の認証を受けた材質(PET-P)を使っている。

 さらに、フィンガーグリッパーの「高衛生モデル(OFG-HYG)」は食品製造設備の安全衛生性を認証する国際機関EHEDG(イーヘッジ、欧州衛生工学・設計グループ、本部ドイツ)のガイドラインに準拠したデザインを採用。すき間や溝をなくし、汚れや水分がたまりにくい設計にした。特に衛生的な環境が求められる工程で使用できる。

「フィンガーグリッパーOFG」、高衛生モデル(左)と吸着パッド付きモデル

         繊細なハンドリングでデリケートな食品搬送に最適

柔軟な把持性能も大きな特長

 フィンガー部分はスリムなデザインで、箱に入ったチョコレートのようにワーク(対象物)同士が密接した状態でも周囲に影響を与えることなく把持できる。

 また、アプリケーション(作業)に合わせてフィンガーを取り付ける向きを45°刻みで変更することができる。これによって、たとえばフィンガーグリッパーよりサイズが大きく、外側から挟み込んで把持するのが難しい箱型のワークの場合は、箱の内側から外側に向けてフィンガーを開く(内径把持)ことで固定、搬送が可能となる。

 ドーナツやチョコレートなどの菓子、魚や野菜などの生鮮食品、サンドイッチなどの崩れやすい食品のピック&プレースに1つのハンドで対応できるため、ハンドの切替えや専用ハンドの設計に要するコストを削減することができる。

 今回の新製品は愛知県国際展示場(同県常滑市)で開催中の「FOOMA JAPAN2021」に出品し、実演を行っている。

スリムなデザインのため、密接した状態でも周囲に影響を与えることなくアプローチできる

ワークのサイズが大きい球体や立方体の場合は、
フィンガーの向きを45°にしてワークの内側から
把持できる

ワークのサイズが大きい直方体の場合は、フィン
ガーの向きを90°にしてワークの内側から把持で
きる