今期の食品事業、増収増益ペースに
日本水産㈱ 常務執行役員(食品事業執行) 金田 進氏

 日本水産の食品事業が今期、増収増益ペースで推移している。売上高は単体で前年比105%、営業利益も「大きく伸びている」(金田進常務執行役員)・(食品事業執行)という。

     金田常務

 ――食品で善戦しているのは。
 金田 魚肉ハムソーが前年比売上高107%、家庭用冷食106%、業務用冷食105%、常温食品111%と各ジャンルとも好調に推移。特にねり製品、魚肉ハムソーが売上げ増とコストダウン効果で前年に比べ、大きく好転しています。

 ――8月に秋冬新商品を発表したが、定番導入率が高いのは?
 金田 家庭用冷食では“地球のごちそう”シリーズの「白身魚から揚げ」、「えびプリプリフライ」、自然解凍シリーズの「毎日選べるおそうざい」、「3種の中華」、“ほしいぶんだけ”シリーズの「若鶏のやきとり串」など。特に原料調達からの一貫した生産システムで差別化を図る“地球のごちそう”シリーズでは、日水グループが資源アクセスで強みを持つ南米産「ほき」を使った商品を強化しています。

 ――なぜ、今、ほきを?
 金田 ほきはスケソウダラに比べ、旨み成分のアミノ酸が3倍とされています。日水では4月に事業推進本部を立ち上げ、水産と食品の融合を図っていますが、その具体例の一つがほきであり、当面は、ほきを前面に出していきます。ほきの切り身をカラッと揚げて香味しょうゆで風味良く仕上げた「白身魚から揚げ」や、キユーピーと共同開発によるタルタルソースを使った「白身魚とタルタルソースのフライ」など、いずれも厳しい品質基準の下で加工した、こだわり商品を打ち出していきます。

 ――マルハニチロと熱い戦いを繰り広げる魚肉ソーセージは。
 金田 発売から58年を経過したロングセラー商品の魚肉ソーセージも、従来以上に力を入れています。これまで“エコクリップ”の採用などで進化を続けてきましたが、このほどカルシウムを添加することで特定保健用食品となりました。このほかにも業務用冷食ではグラタン・ドリア、家庭用冷食では発売20周年を迎えた焼きおにぎりの拡販を図ります。

 ――PB商品への対応が業界の関心事となっているが。
 金田 価格優先で品質が二の次にならないよう節度を持って行動します。価格が先になり、値段だけの勝負になっていくと、結局、品質が悪くなり、消費者離れにつながっていく。このため、日水としては「品質を第一に据えた上でコストが合えば対応する」という基本方針を堅持していきます。

(かねだ・すすむ)1971年(昭和46年)日本水産入社。2001年家庭用食品部長、05年取締役広域営業本部長、08年同食材営業部共管、09年6月から現職。1949年(昭和24年)1月20日生まれ。