最先端技術から自動化、衛生対策まで
「食の技術のニッポン力」を世界に発信
FOOMA JAPAN2019 実行委員長 大川原行雄氏

 「FOOMA JAPAN 2019」を東京ビッグサイトで7月9〜12日開催する。東京五輪・パラリンピックの影響で使用できる展示スペースは例年の約7割に縮小するが、会期中は10万人超の来場が見込まれる。実行委員長の大川原行雄副会長(大川原製作所社長)は「世界に誇る日本発の技術と製品を提案し、食品業界の課題解決に貢献したい」と力強く語る。

ロボットなど先端技術の分野を新設

         大川原委員長

 ――FOOMA JAPANに対するユーザー業界の期待度は年々高まっている。
 大川原 ありがたいことです。FOOMA JAPANは特定分野に集中することなく、食に関するすべての分野を網羅した、他に類をみない総合展示会です。
 今年は東京五輪・パラリンピックの影響で展示会場が西展示棟と南展示棟に移ります。例年に比べて展示スペースが減少しますが、来場者の期待を裏切らないよう総合展の質は維持しております。
 ――最近の出展傾向をどうみる?
 大川原 ユーザー業界では人手不足対策やHACCP対応に加え、付加価値の高い機械を求める傾向が強まっています。こうしたニーズの変化に応えるため、各出展社は最先端の技術導入や製品開発に取り組み、FOOMA JAPANで新しい提案を行っています。
 ――ロボットなどのデジタル技術にも注目が集まっている。
 大川原 これまでもロボットを使った生産ラインや包装ラインの出展はありましたが、各出展社が個々に提案する状況でした。
 そこで今回は来場者がロボットなど最先端技術による課題解決にアクセスしやすいよう「エンジニアリング・ロボット・IoT」分野を新設しました。主要なロボットメーカーやソフトメーカーが出展します。
 来場者は食品機械メーカーやロボットメーカーが提案する活用法を参考にロボット導入のヒントを得ることができます。
 このほかにも、昨年の食品衛生法改正で関心が高まっているHACCP対応では「衛生対策・管理」分野を西展示棟1階に集約し、スムーズに見て回れるようにしました。

200社370を超える新製品が集結

 ――今回のテーマは「食の技術のニッポン力。」だ。
 大川原 国際展示会として海外での認知度は上がっており、外国人の来場者数は年々増えています。来年は東京オリパラが開催されることもあり「ニッポンの技術力」を世界にアピールしようとの思いを込めました。
 高品質化や効率化を図る最先端テクノロジー、人手不足に対する自動化技術、HACCP義務化に備えた衛生対策などのソリューション提案でユーザー業界の課題解決に貢献できると考えております。
 ――ここに向けて新製品を開発するメーカーも多いのでは?
 大川原 今回は200社超、370製品以上が出品されます。出展社の申込み数は年々増えており、断らざるを得ない状況が続いています。とくに最近は出展に意欲的な企業が多く、優先して出展できる日食工への新規加入が急激に増えています。賛助会員を含めた会員規模は10年前に比べ約2倍に拡大しました。

クイックパスを導入、来場者の利便性向上

 ――FOOMA JAPANが来場者を魅了するポイントはどこにある?
 大川原 各出展社による実機デモンストレーションです。実際に食べてみないと、食品機械の特長や性能は伝わらない。展示スペースが縮小した今回も工夫を凝らして実演します。
 日本の食品機械の強みは新製品に限らず、従来機種でも技術革新を続けていること。技術革新は高品質の商品開発に寄与します。展示会場では「こんなおいしい菓子が機械で作れるのか」といった新たな発見に出会えるはずです。
 ――最後に来場者へメッセージを。
 大川原 今回の入場口は3カ所に限られています。これまでの方法では入場するまでに時間を要してしまう。そこで会場での登録手続きが不要な「クイックパス」という入場証を新たに導入しました。PCやスマホで事前登録し、プリントアウトしたクイックパスを会場でバーコードリーダーにかざせばスムーズに入場できます。さらにクイックパスで入場した人の中から豪華賞品をプレゼントする抽選会も実施します。ぜひ活用してください。

(おおかわら・ゆきお)1956年2月静岡県生まれ。米乾燥機メーカーの静岡製機九州営業所に5年間勤務した後、1983年大川原製作所(静岡県榛原郡)入社。2005年代表取締役社長。同社は創業92年の老舗乾燥機メーカー。大川原社長は5代目。日食工では2015年から副会長を務める。東海大学工学部機械学科卒。