エアー凍結を上回る新鮮冷凍
リキッド凍結のパイオニア
�螢謄�ニカン 山田義夫社長
テクニカンの山田義夫社長はリキッドフリーザーの開発者。日本や欧米などで特許を取得し「凍眠」や「ＴＵＳＴ」といったリキッド凍結機を発売している。高鮮度保持の冷凍装置として食肉業界や外食産業に広く浸透させた。水産業界でも、刺身商材を新鮮なまま凍結できると注目されている。
山田社長
――リキッド凍結を開発したきっかけは何か。
山田 食肉問屋で商品開発を行っていた際、食材を箱に詰めて棚に並べ、長時間冷凍する煩わしさを感じ、空気ではなく液体アルコールで短時間に凍結させるリキッドフリーザーを２７年前に開発しました。その後、凍結装置を発売するためテクニカンを設立しました。
――リキッドフリーザーの特徴について。
山田 エアー凍結で数時間かけていた凍結作業を数十分に短縮させるだけでなく、急速冷凍の効果で細胞内水分が小さくなるため、肉や魚の細胞破壊を防ぐことが可能です。解凍時のドリップがなくなり、限りなくフレッシュな状態に戻すことができます。味、食感、見栄え、歩留まり、全てに効果があります。
食肉業界や外食産業において短時間で色も味も変わらずに凍結できる機器として広く普及し、納品実績は９００台近くになります。食材を凍結させるだけでなく、ハムを薄くスライスするために表面を凍らせるテンパリング作業にも欠かせない機器となり、ハム工場では必ずテクニカンのリキッド凍結を使用してもらっています。
コンベア型のリキッドフリーザー
――食肉業界のみならず、水産業界でも注目を集めているが、どのような海産物に使用できるのか。
山田 マグロやカンパチといった刺身商材や、アワビやイセエビといった高級海産物にも活用していただいています。ほかにサーモン、ヒラメ、イクラ、フォアグラなど、ありとあらゆる海産物に利用できます。オーストラリア産アワビをリキッド凍結すると、解凍時に肝まで刺身で食べられると好評でした。
――マルハニチロ水産の輸出を視野に入れた養殖カンパチ加工場にもリキッド凍結機を納入したが。
山田 他社機器と比べ高品質のまま凍結できるとして採用されました。テクニカンのリキッドフリーザーが細胞内水分を５〜３ミクロンとほぼ原型のまま凍結できることがマルハニチロ水産の研究室で検証され、導入を決定してもらいました。
――今月ショールームを横浜市都筑区にオープンした。
山田 最上位機種の「ＴＵＳＴ」をはじめ、コンベア、ゴンドラ、リフト型のリキッド凍結機を用意しています。また、厨房やパッキング機器も備えていますので、この場でリキッド凍結機を活用した商品開発もできます。ぜひ、凍結させたいサンプルを持ち込んでリキッド凍結させ、解凍後に色や食感を確かめ、すばらしさを体感してもらえたらと思います。パンフレットだけでは分らない驚きを感じることができるでしょう。
10分の１サイズに縮小した施設型の大型凍結機もショールームにある
――今後の活動について。
山田 海外からいきなりリキッド凍結機の注文が入ったりしますが、今後は戦略的にアジアの国々へ販売先を広げて生きたい。中でも中国は食材を加工して他国へ輸出する国でもあるので注目しています。
最上位機種ＴＵＳＴを南アフリカから見学に来た関係者もいる
＜やまだ よしお＞1947年（昭和22年）３月23日生まれ、東京都出身、食肉問屋で商品開発を行う。89年にテクニカンを設立。趣味は海上でクルーザーを楽しむこと。
テクニカン本社