商品力強化、生産効率化、環境・省エネ、品管強化
船橋に調理冷食の第二工場、ロボットが大活躍
ニチレイフーズ 船橋第二工場（千葉県船橋市）（１）
ニチレイフーズは「船橋第二工場」を千葉県船橋市高瀬町にこのほど完成、稼働開始した。大消費地である首都圏に直結する新たな生産拠点として、既存の「船橋工場」と合わせて機能を発揮する。
同社グループでは船橋工場、関西工場に並ぶ大型生産拠点となる。需要が順調に拡大を続ける家庭用調理冷凍食品を生産する。既存の船橋工場（船橋市日の出）とは千葉港の入り江をはさんだ対面というロケーション。
第１弾商品「ミニハンバーグ」は関西工場から移管し、新工場で製造するのを機に、新製法で大幅にリニューアルした。これにより、外は“こんがり”、中は“ふっくらジューシー”に仕上げたハンバーグを味わうことができる。
生産を効率化するため、配合ミスなどの品質管理機能に作業データのリアルタイム管理など生産管理機能を加えた「ＰＡＳ」（プロダクション・アシスタンス・システム）を導入。トレー詰め、箱詰め、パレタイズなどの作業はロボットを活用し自動化を図った。
発売44周年のロングセラー「ミニハンバーグ」を生産
新製法「Ｗベルトグリル」で加熱温度を細かくコントロール
船橋第二工場のポイントは�‐ι蔑篭�化と生産の効率化、��環境配慮・省エネルギー対応、�Ｉ兵全浜�体制の強化――を図ったこと。
商品力については、発売44周年を迎えたロングセラー商品「お弁当にGood！ ミニハンバーグ」を、関西工場から移管、新工場で生産するのを機に大幅なリニューアルで刷新し、市場に再提案している。
新製法「ダブルベルトグリル焼成」を採用したのがポイント。原料肉を成型した後、上下のベルトではさむようにしながら加熱する。上下それぞれ12のゾーン（計24ポイント）に分けて温度コントロールし、最適な肉の焼き上がり感を生み出す。加熱時にはコンベア１列にハンバーグ10個が並び、約250℃で１分強加熱する。
この後「家庭ではハンバーグを焼き上げ、フライパンにフタをして蒸し上げるという技法を再現するため」（和田秀美常務執行役員生産統括部長）「マルチスチーマー」で蒸す。これにより、新ミニハンバーグの商品特長である「外はこんがり、中はふっくらジューシー」を実現した。
Ａ、Ｂ２つのラインで製造、加工した製品を１本に集約し、スパイラルフリーザーで凍結する。
生産効率化のため、ＩＴ技術を活用した業務効率化システム「ＰＡＳ」（プロダクション・アシスタンス・システム）を自社開発し導入した。
Ｗベルトグリルで上下から加熱
品質管理と生産管理の独自システム導入
自社開発した業務効率化システム「ＰＡＳ」（プロダクション・アシスタンス・システム）は、原型を2006年に完成し、白石工場（宮城）に最初に導入した。その後、機能を追加しつつ、ニチレイフーズの全工場に展開したシステム。
開発当初の「品質管理機能」は�仝矯猯舛�ら製品までのマテリアル・トレーサビリティ、��原材料使用期限管理、�Ｇ杞腑潺綱瓢漾宗修乏萢僂靴討い拭�
その後「生産管理機能」として�ず邏肇淵咼押璽轡腑鵝↓ダ源坤如璽拭塀杜漫Σ硬戞縫螢▲襯織ぅ犂浜�（トレース情報追加）、�δ�票の電子化――機能を追加し、業務の効率化をサポートしている。今回導入した船橋第二工場は「ＰＡＳの集大成」（和田常務）という。
製造現場では各工程にＰＡＳ端末を配置している。作業ナビは「ニーダーに水○リットル入れて下さい」、「ニーダーの羽を回して撹拌してください」などの指示と同時に、投入する原料管理番号の入力を求め、これをクリアしないと次工程に進めない。生産データはリアルタイムに管理し、電子帳票化する。
今回積極的にラインに導入したロボットシステムは、関係業界と共同で開発し、手作業を自動化した。
ラインの各所でＰＡＳの端末が活躍する
行政、地域、グループなど関係者一体の取り組み
加藤工場長
ニチレイフーズがこのほど竣工した船橋第二工場は、同社関係者、工事関係者はもちろん、経済産業省、船橋市をはじめ、行政、地域関係者ら多数の取り組みで実現した。開所式には関係者多数が出席し、官民・地域一体で取り組んだことを示した。
ニチレイの大谷邦夫社長とニチレイフーズの池田泰弘社長が新工場に対する期待を含め竣工挨拶。池田社長は竣工直前の今年２月、２度の大雪があったにも関わらず、予定した工期で完成させた三和建設の努力についても触れ、謝意を示した。
船橋市経済部の福田幸雄部長が来賓代表祝辞。福田氏は新工場を建設した京葉食品コンビナートが全国的にも重要な役割を果たすことを強調。ニチレイが船橋工場に続き、第二工場も同地域に進出したことに歓迎の意を表明。さらに「東日本大震災で食糧難が生じた際、京葉コンビナートは液状化の被害を受けたが、ニチレイを含め各社が素早く再稼働し、食料品を被災地に、首都圏に供給した。その危機管理の取り組みに深く感じ入った」と称賛した。
福田部長と、同市保健所の筒井勝所長、新工場に電気・給排水・蒸気を供給する京葉ユーティリティの鹿倉美彦社長、経産省関東経済産業局企業立地支援課の佐藤成徳課長が並び、ニチレイの大谷社長、ニチレイＦの池田社長が加わってテープカットした。
この後、ニチレイフーズの和田秀実常務執行役員生産統括部長が船橋第二工場の特徴、ポイント等を紹介。新施設を見学した。
懇親会では加藤達志工場長と、地元を代表して京葉ユーティリティの鹿倉社長が挨拶した。
加藤工場長は「千葉港をはさんだ対岸にある船橋工場は昭和36年に設立以来50年以上。船橋はニチレイフーズの事業を支える重要な拠点。それがあった故に、新工場建設の決定から１年で立ち上げることができた。新工場竣工を機に、今後30年、50年と当社事業を支える拠点となるよう、従業員とともにモノづくりに励む。支援を願う」と挨拶。
鹿倉社長は「当コンビナートには日本を代表する食品会社33社が在籍している。通常で5000人、年末には6500人が勤務し、通常の夜間でも1000人が働いている。地域貢献と支援のため、船橋市と災害支援協定を昨年２月締結した。災害時には船舶、気象情報会社ウェザーニュース社（千葉市）等と連携。帰宅困難者が発生すれば230人を収容する準備をしている。ニチレイＦ新工場の完成を機に、今後も経済発展と地域貢献を薦めたい」と語った。
懇親会会場には「ミニハンバーグ」をはじめ同社が取り扱う商品も試食用に提示した。
最後に、新工場の梅田豊副工場長が「竣工はゴールではない。関係者への御礼は工場発展という形でお返ししたい」と挨拶し、中締めとなった。
ニチレイＦ船橋第二工場の概要
◇所在地 千葉県船橋市高瀬町24-28（〒273-0014、電話047-404-2141、Fax404-2143）、京葉食品コンビナート内
◇工場長 加藤達志（船橋工場長兼務）、副工場長・梅田豊
◇面積 敷地約３万3000�屐別鵤泳�坪、船橋工場、関西工場＝高槻市＝とほぼ同規模）、延床約8200�屐別�2500坪）、将来増設スペースを現在の建屋規模で確保している
◇生産能力 年間約9000ｔ
◇従業員数 約250名
◇建設・施工 三和建設�蝓並膾綮塒篝邏茵�
管理棟（左）と製造棟（右）